裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成2(行ウ)9
- 事件名
公文書開示決定処分取消請求事件
- 裁判年月日
平成6年5月25日
- 裁判所名
宇都宮地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 栃木県公文書の開示に関する条例(昭和61年栃木県条例第1号)9条1項に基づき県知事がした,学校法人が大学の施設整備費補助金の交付申請に際し県に提出した前年度収支計算書及び貸借対照表の各一部分を開示する決定につき,同学校法人は当該決定の取消しを求める法律上の利益を有するとした事例 2 栃木県公文書の開示に関する条例(昭和61年栃木県条例第1号)9条1項に基づき県知事がした,学校法人が大学の施設整備費補助金の交付申請に際し県に提出した前年度収支計算書及び貸借対照表の各一部分を開示する決定が,同条例6条2号及び5号所定の非開示事由が認められないとして,適法とされた事例
- 裁判要旨
1 栃木県公文書の開示に関する条例(昭和61年栃木県条例第1号)9条1項に基づき県知事がした,学校法人が大学の施設整備費補助金の交付申請に際し県に提出した前年度収支計算書及び貸借対照表の各一部分を開示する決定につき,前記条例3条は,同条例の解釈及び運用について,実施機関は,個人の秘密その他通常他人に知られたくない個人に関する情報がみだりに公開されることのないように最大限の配慮をしなければならない旨を定め,また,同条例6条2号本文は,開示をしないことができる公文書として,法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって,公開することにより,当該法人等又は当該事業を営む個人に不利益を与えることが明らかであると認められるものを掲げているところ,これらの規定は,個人,法人その他の団体の秘密ないし情報を公文書の開示により不当に侵害することのないように配慮しようとの趣旨に基づくものと解されるとした上,前記の前年度収支計算書及び貸借対照表は,法人の経理内容に関する情報を記載した文書であるから,前記学校法人は前記決定の取消しを求める法律上の利益を有するとした事例 2 栃木県公文書の開示に関する条例(昭和61年栃木県条例第1号)9条1項に基づき県知事がした,学校法人が大学の施設整備費補助金の交付申請に際し県に提出した前年度収支計算書及び貸借対照表の各一部分を開示する決定につき,前記の前年度収支計算書及び貸借対照表は,同学校法人の経理内容に関する情報が記載されているところ,この情報からは,他の学校法人との関係で客観的にみて前記学校法人の競争上の地位その他正当な利益を害するような独自の経営上の秘密等を看取することが困難であるから,同情報は,前記条例6条2号本文が非開示事由として定める法人等に関する情報であって公開することにより当該法人等に不利益を与えることが明らかであるものに当たらず,また,前記情報の開示により,大学誘致をはじめとする高等教育機関の整備によって県民の高等教育の機会拡大と振興を図るという前記補助金交付事務の実施目的を失わせるおそれもないから,同条5号が非開示事由として定める県の機関等が行う事務に関する情報であって,当該事務の性質上,公開することにより当該事務又は同種の事務の実施の目的が失われるものに当たらないとして,前記決定が適法とされた事例
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