裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成2(行ケ)169
- 事件名
裁決取消請求事件
- 裁判年月日
平成6年2月28日
- 裁判所名
東京高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 三船間に見合関係が成立した場合の航法 2 三船間に見合関係が成立した場合につき,海上衝突予防法15条1項の定める横切り航法が適用されるとした事例 3 高等海難審判庁が潜水艦と衝突した遊漁船の船長に対してした業務停止1箇月の裁決につき,同船長には前記潜水艦の動静を監視して衝突の危険の有無を確認し,これを回避すべき注意義務があるのにこれを怠るなどの職務上の過失があり,その過失の態様及び事故の結果の重大性に照らすと,前記裁決は適法であるとした事例
- 裁判要旨
1 海上衝突予防法の基本原則は,多船間の関係を二船間の航法関係に還元し,原則的にはそのどちらかの一方の船舶に他方の船舶の進路を避けさせることにあるから,三船間に見合関係が成立する場合においても,原則として二船間の航法関係に還元して考察すべきであり,このような考察をしたときに相矛盾する避航義務と保持義務とを同時に負う艦船が存在することになり,二船間の航法によることができないなどの特段の事情がある場合に,初めて同法39条の定める船員の常務に従うべきことになると解するのが相当である。 2 三船間に見合関係が成立した場合につき,海上衝突予防法15条1項の定める横切り航法を適用しても,当該三船間に相矛盾する避航動作をしなければならない結果をもたらす特段の事情があったとはいえないとして,前記の横切り航法が適用されるとした事例 3 高等海難審判庁が遊漁船と潜水艦が衝突した事故について当該遊漁船の船長に対してした裁決のうち当該船長の業務を1箇月停止するとの部分につき,海上衝突予防法15条1項により前記遊漁船は保持船の立場にあったから,その船長は,同法17条1項により同船の速力を保たなければならないのに,減速の措置を執り,避航船である潜水艦が間近に接近した後は,当該避航船の動作のみでは衝突を避けることができない状況となったのであるから,同条3項により避航船の動静を監視して衝突の危険の有無を確認し,衝突を避けるための最善の協力動作を執るべき義務があるのにこれを怠った職務上の過失があり,その過失の態様及び結果の重大性等に照らすと,前記の裁決の部分は適法であるとした事例
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