裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成2(行ウ)57
- 事件名
奨励金支給事務委託中止等請求事件
- 裁判年月日
平成4年10月2日
- 裁判所名
大阪地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 大阪府が,社団法人大阪府原爆被害者団体協議会との間で,健康診断を受診した被爆者に対して支給する受診奨励金の支給事務を同社団法人に委託する旨の契約を締結したことが,地方自治法243条に違反しないとされた事例 2 原爆被爆者に関する個人情報は,地方公務員法34条及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律23条にいう「秘密」に当たるか 3 大阪府が,社団法人大阪府原爆被害者団体協議会との間で締結した,健康診断を受診した被爆者に対して支給する受診奨励金の支給事務の委託契約に基づき,被爆者の氏名等の個人情報を同社団法人に提供する行為につき,地方公務員法34条に違反し,原子爆弾被爆者の医療等に関する法律23条に該当する違法な行為とはいえないとした事例 4 大阪府が,社団法人大阪府原爆被害者団体協議会に対して被爆者の健康診断受診奨励金の支給事務を委託したことが違法であり,同委託契約が無効であるとして,地方自治法242条の2第1項1号及び4号に基づき提起された同委託契約締結の差止請求及び不当利得返還請求が,いずれも棄却された事例
- 裁判要旨
1 大阪府が,社団法人大阪府原爆被害者団体協議会との間で,健康診断を受診した被爆者に対し大阪府の支給要綱に基づいて支給する受診奨励金の支給事務を同社団法人に委託する旨の契約を締結したことにつき,同受診奨励金は,地方自治法243条所定の私人の公金取扱いの制限の例外を定めた同法施行令165条の3第1項,161条1項7号の「報償金その他これに類する経費」にいう「類する経費」に該当するから,同法243条に違反しないとした事例 2 原爆被爆者であることは社会的差別の原因となり得ることであるから,住所,氏名等の被爆者に関する個人情報は,その者を特定するなどの手掛りを与えるものとして,地方公務員法34条及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律23条にいう「秘密」に当たる。 3 大阪府が,社団法人大阪府原爆被害者団体協議会との間で締結した,健康診断を受診した被爆者に対して支給する受診奨励金の支給事務の委託契約に基づき,被爆者の氏名等の個人情報を同社団法人に提供する行為につき,前記支給事務の委託には高度の合理性が認められる上,同社団法人の職員等によって当該個人情報が他に伝播するおそれは極めて低いことなどからすれば,地方公務員法34条に違反し,原子爆弾被爆者の医療等に関する法律23条に該当する違法な行為とはいえないとした事例 4 大阪府が,社団法人大阪府原爆被害者団体協議会に対して被爆者の健康診断受診奨励金の支給事務を委託したことが違法であり,同委託契約が無効であるとして,地方自治法242条の2第1項1号及び4号に基づき提起された同委託契約締結の差止請求及び不当利得返還請求が,同契約の締結行為は同法243条に違反しないことなどから適法であり,同委託契約には無効事由が存しないとして,いずれも棄却された事例
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