裁判例結果詳細

事件番号

平成3(行コ)33

事件名

期末手当違法支出返還請求控訴事件

裁判年月日

平成4年3月24日

裁判所名

大阪高等裁判所

分野

労働

判示事項

1 県知事が違法な条例に基づき期末手当を支給したことにより県に損害を与えたとして提起された地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求の訴えが,普通地方公共団体の長には条例を執行すべき拘束を受けない場合があり,支出行為の違法性について本案の審理をすべきであるとして,適法とされた事例 2 県知事が違法な条例に基づき期末手当を支給したことにより県に損害を与えたとして提起された地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求が,当該条例の定めに県議会の裁量権の逸脱又は濫用を認めることはできず,前記期末手当の支給は違法ではないとして,棄却された事例

裁判要旨

1 県知事が違法な条例に基づき県の特別職職員及び県議会議員に対して期末手当を支給したことにより県に損害を与えたとして,住民が県に代位して県知事個人を被告として提起した地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求の訴えが,前記期末手当の支給が住民訴訟の審理の対象となる行為に当たることは明らかであり,普通地方公共団体の長は,少なくとも条例の違法性が重大かつ明白な場合においては当該条例を執行すべき拘束を受けないものと解するのが相当であるから,長が当該条例の規定に基づいてした公金の支出は,それに固有の違法が認められない場合であっても,同条例の違法性を承継し,違法な公金の支出となるものというべきであり,そうすると,前記請求に係る支出行為の違法性については本案の審理をすべきことになるとして,適法とされた事例 2 県知事が違法な条例に基づき県の特別職職員及び県議会議員に対して期末手当を支給したことにより県に損害を与えたとして,住民が県に代位して県知事個人を被告として提起した地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求が,県の特別職職員及び県議会議員に対する期末手当の額については条例にゆだねるのが地方自治法204条,203条の趣旨であるところ,当該条例所定の期末手当の額は,同県の一般職職員に対する手当の額に比較して不当に多額とはいえず,また,常勤の特別職の国家公務員及び国会議員との比較においても著しい差はないから,当該条例の定めに議会の裁量権の逸脱又は濫用を認めることはできず,前記の期末手当の支給は違法ではないとして,棄却された事例

全文

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