裁判例結果詳細

事件番号

昭和63(行ウ)201

事件名

東京国際空港新A滑走路供用禁止請求事件

裁判年月日

平成4年3月18日

裁判所名

東京地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 無名抗告訴訟のうちの義務付け訴訟として提起された東京国際空港新A滑走路の供用差止請求訴訟が,公権力性を持つ行為として具体的にどのような行為を取り上げて不服の対象としようとしているのか請求の内容が特定されていないから不適法であるとして,却下された事例 2 運輸大臣を被告とする国営空港の供用差止請求訴訟を当事者訴訟として提起することの適否 3 運輸大臣及び空港事務所長を被告として航空法96条による航空交通の指示の差止め又はその無効確認を求める訴えが,訴えを提起するについて法律上の利益がないとして,却下された事例

裁判要旨

1 無名抗告訴訟のうちの義務付け訴訟として提起された「国営空港である東京国際空港について,被告運輸大臣の有する空港管理権と航空行政権という2種の権限の総合的判断に基づく不可分一体的,包括的な公権力の行使として行われる,航空機の離着陸のためにする供用行為を,その新A滑走路の北側方向の離着陸への供用という部分に限って停止することを求める」旨の訴えが,被告運輸大臣の行う当該空港の航空機の離着陸のための供用にかかわりを持つ公権力性を備えた各種の行為のうち,原告らに対する関係で公権力性を持つ行為として具体的にどのような行為を取り上げてこれを不服の対象としようとしているのかが全く特定されていないから,抗告訴訟として不適法なものであるとして,却下された事例 2 運輸大臣を被告とする国営空港の供用差止訴訟は,形式的当事者訴訟としても実質的当事者訴訟としても不適法である。 3 運輸大臣及び空港事務所長を被告として航空法96条による航空交通の指示の差止め又はその無効確認を求める訴えにつき,同条所定の指示は,専ら航空交通の安全を考慮するという見地から,航空交通管制区又は航空交通管制圏における航空機の離陸若しくは着陸の順序,時機若しくは方法又は飛行の方法について与えられるものとされているのであり,当該指示を行うに当たって,航空機の離着陸の際の騒音,振動等による障害の防止という観点をも考慮すべき旨が定められているものとは解し難いから,それに関する利益を個々人の個別的利益として保護しているものとまではいえず,国営空港の近隣住民が航空交通の指示の差止め等を求めるにつき法律上の利益を有しているとすることは困難であるとして,前記訴えが不適法なものとして却下された事例

全文

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