裁判例結果詳細

事件番号

平成3(行ケ)95

事件名

選挙無効請求事件

裁判年月日

平成4年2月26日

裁判所名

東京高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 都道府県議会議員の選挙区を郡市の区域によるものとし,各選挙区において選挙すべき議員の数を選挙人の数ではなく原則として人口に比例して定めるとする公職選挙法15条の規定及びこれに基づく千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)の合憲性 2 千葉県議会が平成3年千葉県条例第1号により千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)及び千葉県議会議員の定数を減少する条例(昭和53年千葉県条例第53号)を改正するに当たり,公職選挙法271条2項に基づくいわゆる特例選挙区を存置したことが,適法とされた事例 3 千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)の議員定数配分規定の適法性,合憲性

裁判要旨

1 都道府県議会議員の選挙区について,歴史的,政治的,社会的に地域的なまとまりを持っていると考えられる郡市によりこれを構成すべきこととすることが国会の合理的な裁量権の行使として許されないとする理由はなく,また,各選挙区の議員数について,選挙人数はおおむね人口に比例するものであり,議員数を人口に応じて配分するか選挙人数に応じて配分するかによって大差が生ずるものではないこと,都道府県議会議員は未成年者を含む住民を代表すべきものであることからすると,人口と選挙人数のいずれを基準として採用するかは国会の裁量の範囲内にあるというべきであるから,都道府県議会議員の選挙区を郡市の区域によるものとするとともに,各選挙区において選挙すべき議員数を選挙人数ではなく原則として人口に比例して定めるとする公職選挙法15条の規定及びこれに基づく千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)は憲法15条3項,44条ただし書に違反しない。 2 千葉県議会が,平成3年千葉県条例第1号により千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)及び千葉県議会議員の定数を減少する条例(昭和53年千葉県条例第53号)を改正するに当たり,他の地域,特に首都近郊内地域における急激な人口増のため配当基数が0.5を割るに至ったという人口移動の特殊性,同改正に至るまでの議員選出の歴史的経緯,地域からの代表確保の要請等を考慮し,地域間の均衡を図るため,公職選挙法271条2項に基づくいわゆる特例選挙区として3選挙区を存置したことは,同議会に与えられた裁量権の合理的な行使として是認し得るものであり,かつ,当該3選挙区の配当基数は2選挙区が0.36,1選挙区が0.42であり,いまだ特例選挙区の設置が許されない程度には至っていないから,適法というべきであるとした事例 3 千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)は,平成3年千葉県条例第1号により改正されて定数が増加されたほか,特例選挙区が3区設けられ15選挙区に公職選挙法15条7項ただし書を適用する措置が執られた結果,平成3年4月7日の千葉県議会議員選挙当時,特例選挙区を含む議員一人当たりの人口の最大較差は1対3.48,特例選挙区を除く議員一人当たりの人口の最大較差は1対2.45となり,配当基数に応じて定数を配分した人口比定数により算出した較差より縮小され,いわゆる逆転現象も前回選挙時の31通りから16通りに減少し,定数2以上の差のある顕著な逆転現象もなかったことなどからすると,前記選挙当時における議員一人当たりの人口の較差が示す投票価値の不平等は,地域間の均衡を図るため通常考慮し得る諸般の要素をしん酌してもなお,一般的に合理性を有するものとは考えられない程度に達していたとはいえないから,同条例の定める議員定数配分規定は,公職選挙法15条7項,憲法14条1項等に違反するものではない。

全文

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