裁判例結果詳細

事件番号

昭和61(行ウ)2

事件名

能登原子力発電所海洋調査にかかる損害賠償等請求事件

裁判年月日

平成3年3月22日

裁判所名

金沢地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 「発電所の立地に関する環境影響調査及び環境審査の強化について」と題する昭和52年7月4日付け通商産業省省議決定及び「発電所の立地に関する環境影響調査及び環境調査の実施について」と題する昭和54年6月24日付け通商産業省資源エネルギー庁通達(54資庁第8775号)が原子力発電所の設置を計画する電気事業者等に対して要求している環境影響調査の実施及び環境影響調査書の作成のため,将来電気事業者に調査結果を利用させることを予定した上で,県が当該電気事業者に代わって基礎資料を収集し,もってその原子力発電所立地の手続に便宜を供与する意図で調査会社等との間で海洋調査実施委託契約を締結し,委託料及び調査実施に伴う事務費を支出した行為が違法な公金の支出に当たるとして県知事個人に対し提起された地方自治法242条の2第1項4号前段に基づく損害賠償請求が,地方自治法232条の2所定の「寄附又は補助」は,財政的な観点からされる援助を意味するものであるところ,前記支出行為は,専ら原子力発電所の立地を推進するために必要な手続上のものであり,当該電気事業者が海洋調査結果の使用の対価として前記支出に法定利息相当額を加えた金額を上回る金員を県に納付していることに照らすと,当該行為が財政上の寄附又は補助に該当するということはできないなどとして,棄却された事例 2 県知事が「県有著作物の取扱いに関する要綱」(石川県告示第377号の3)に基づき電気事業者に対してした,県有著作物たる海洋調査結果の使用承諾の取消しを求める訴えが,同調査結果は県の普通財産に該当するところ,普通財産の使用関係はこれを公法的に規制する法令が存しない限り,一般的には私法関係とみるべきものであり,前記要綱はその内容が県有著作物の使用関係を公法的に規制するものではないから,使用承諾権者たる県知事のした使用承諾は,著作権法63条所定の著作権者のした著作物の使用許諾にとどまり,公権力の行使としての行政処分たる性質を有せず,地方自治法242条の2第1項2号の予定する訴訟類型に該当しないとして,却下された事例 3 県知事が「県有著作物の取扱いに関する要綱」(石川県告示第377号の3)に基づき電気事業者に対して県有著作物たる海洋調査結果の使用承諾をし,県の財産管理を怠ったことの違法確認を求める地方自治法242条の2第1項3号による訴えが,当該知事の行為は積極的行為を内容とするものであり,不作為を対象とする同法条の訴訟類型に該当しないとして,却下された事例

裁判要旨

全文

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