裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成1(行コ)53
- 事件名
行政処分取消請求控訴事件
- 裁判年月日
平成2年9月19日
- 裁判所名
東京高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 電気事業法施行規則(昭和40年通商産業省令第51号)77条2項所定の指定法人に指定することを求めた法人に対し,通商産業大臣が申請書を受理したまま何ら書面による応答をしていない場合において,通商産業省の担当者が,同省内部における検討協議の結果を踏まえた上で,前記法人に対し,電話で,前記申請が認められない旨申し述べたとしても,その際,前記申請については,法令上,申請権の根拠がなく,同申請の処理方法は同省内部で検討中である旨併せ告げているなどの点にかんがみると,前記の電話での発言は,前記申請に対する棄却又は却下の処分の外形を有せず,通商産業大臣は,前記申請に対して,いまだ棄却又は却下の処分をしていないとした事例 2 一定規模以下の自家用電気工作物の設置者に対する主任技術者不選任承認制度を定めた電気事業法施行規則(昭和40年通商産業省令第51号)77条2項は,自家用電気工作物の設置者に対して主任技術者の選任を義務付ける電気事業法72条1項の委任の範囲内にあるといえるか 3 電気事業法施行規則(昭和40年通商産業省令第51号)77条2項所定の指定法人の指定を受けようとする者には,法令に基づく申請権が認められるか 4 電気事業法施行規則(昭和40年通商産業省令第51号)77条2項所定の指定法人に指定することを求める申請に対し,通商産業大臣が何らの処分をしないことの違法確認を求める訴えが,同申請は法令に基づくものではないとして,棄却された事例
- 裁判要旨
2 電気事業法72条1項は,自家用電気工作物の保安上支障がないと認められる範囲内で,主任技術者の選任を専任の形態以外の形態によって行うことをも許容しており,電気事業法施行規則(昭和40年通商産業省令第51号)77条2項が規定する専任以外の形態は,主任技術者免状の交付を受けた者のうちでもとりわけ十分な知識,経験,能力を有する者を委託契約の形式で主任技術者に選任するか,指定法人を媒介として,当該指定法人に属する主任技術者免状の交付を受けた者を,いわば間接的に主任技術者に選任するものということができるから,同項の規定する自家用電気工作物の限定及び通商産業大臣の承認の制度と併せると,同項の趣旨に適合するものであり,また,前記法人の限定を通商産業大臣の裁量に基づく指定にゆだねることも,同項の許容するところであるから,同項は,電気事業法72条1項の委任の範囲内にあるものということができる。 3 電気事業法,同法施行規則(昭和40年通商産業省令第51号)その他関係諸法令に,指定法人の指定について一定の法人に申請権を付与したものと解すべき規定等は存しない上,同規則77条2項所定の指定法人の指定は,当該法人と自家用電気工作物である需要設備についての保安業務の委託契約を締結することにより,電気事業法72条1項の主任技術者選任の義務を果たしたとされる法的効果を生ずることとなる法人を決定することを目的とする通商産業大臣の行為であって,特定の法人に対し,自家用電気工作物である需要設備についての保安業務を収益事業として営むことのできる法的地位を付与することを直接の目的とするものではないから,同規則77条2項による指定法人の指定は,通商産業大臣が一方的に行うものであって,指定法人の指定を受けようとする者には,法令に基づく申請権は認められない。
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