裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
昭和61(行ウ)15
- 事件名
再入国不許可処分取消等請求事件
- 裁判年月日
平成元年9月29日
- 裁判所名
福岡地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定(昭和40年条約第28号)並びに日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法に基づく日本国における永住資格(協定永住資格)の法的性質 2 協定永住許可を受けていた在日韓国人がした米国留学を理由とする再入国許可申請に対する不許可処分の取消しを求める訴えが,同在日韓国人は,再入国許可を受けないまま出国したことにより再入国許可処分の前提となる協定永住資格を喪失しており,同処分を取り消したとしても,改めて再入国許可処分を受ける余地はないから,同処分の取消しを求める訴えの利益がないとして,却下された事例 3 協定永住資格を有していた在日韓国人が国に対してした協定永住資格を有することの確認を求める訴えが,同在日韓国人は,再入国許可を受けないまま出国したことにより前記協定永住資格を喪失したとして,棄却された事例 4 外国人登録法に規定する指紋押なつ制度と憲法13条,14条並びに市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和54年条約第7号)2条1項,7条,17条1項,26条 5 協定永住資格を有する在日韓国人がした再入国許可申請に対し,指紋押なつ拒否を理由としてした不許可処分が,その判断の根拠となった事実の認定においてその基礎を欠いたものとはいえず,また,指紋押なつを適法に行うまでは再入国を不許可とすることが社会通念上著しく妥当性を欠くものとまではいえないとして,違法であるとは認められないとされた事例 6 協定永住資格を有していた在日韓国人がした再入国許可申請に対する指紋押なつ拒否を理由とする不許可処分の違法を理由としてした国に対する損害賠償請求が,同処分に違法はないとして,棄却された事例
- 裁判要旨
1 日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定(昭和40年条約第28号)並びに日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法に基づく永住資格(協定永住資格)は,本邦に在留することができる資格という点では,在留資格の一態様であり,その存続要件は,出入国管理及び難民認定法に定める一般の永住資格者と異なるところはないから,協定永住資格を有する者が,前記資格を保持したまま再入国する意図をもって出国しようとする場合には,再入国許可を必要とし,逆に,再入国許可を受けずに出国した場合には,同資格を失うこととなる。 4 外国人登録法に規定する指紋押なつ制度は,憲法13条,14条並びに市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和54年条約第7号)2条1項,7条,17条1項,26条に違反しない。
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