裁判例結果詳細

事件番号

昭和58(ワ)98

事件名

老齢年金支給請求事件

裁判年月日

平成元年5月31日

裁判所名

札幌地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 既に基本権たる年金受給権については裁定を受けたものの,何らかの事由により未支給となっている国民年金法に基づく老齢年金の支払を求める訴訟の継続中に原告が死亡した場合,相続人は原告たる地位を当然に承継するか 2 国民年金法19条1項の規定による未支給年金の受給権者が,同条項に基づいて未支給年金の支給を請求した場合には,同条3項の規定による受給権の裁定未経由の年金の受給権者が受給権の裁定の請求をする場合と同様,所轄行政庁は,未支給年金の支給決定又は不支給決定をしなければならないとした事例 3 既に基本権たる年金受給権について裁定は受けたものの,国民年金法20条の規定により支分権たる年金請求権の行使につき支給停止の措置が執られている同法の老齢年金につき,同法20条の規定ひいてはこれに基づく支給停止の措置が違憲無効であるとして,停止期間中の年金の支払を求める訴えが係属中,原告が死亡した場合につき,原告と生計を同じくする相続人は,訴訟における原告の地位を当然に承継したということはできないし,自己に対する未支給年金の支給決定を経ていない以上,同法19条1項の規定に基づく未支給年金の請求権については単なる抽象的,観念的権利を有するにすぎないから,参加承継ないし引受承継の申立てをする余地もないとした事例

裁判要旨

1 既に基本権たる年金受給権については裁定を受けたものの,何らかの事由により未支給となっている国民年金法に基づく老齢年金の請求権は,受給権者の一身専属的な権利で,相続の対象となる余地はないものであり,また,国民年金法19条の規定も,遺産相続とは全く別個のものとして,死亡した受給権者と生計を同じくしていた一定の範囲の遺族に自己の名で未支給年金の支給を請求できる権利を付与したものにすぎず,同規定からはせいぜい未支給年金請求権の特定承継があったものと擬することができるにとどまるから,同未支給老齢年金の支払を求める訴訟の係属中に原告が死亡した場合,相続人は,原告たる地位を当然に承継するものではない。

全文

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