裁判例結果詳細

事件番号

昭和61(行ウ)3

事件名

行政処分取消請求事件

裁判年月日

平成元年5月25日

裁判所名

広島地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律4条2項2号及び同法施行令(昭和59年政令第319号)6条2号を受けて制定された同法施行条例(昭和59年広島県条例第29号)4条1項2号に列挙する学校,図書館,病院等の保護対象施設の設置者は,同条例の定める風俗営業の制限地域内において風俗営業が許可された場合,その許可処分の取消しを求める原告適格を有するか 2 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律3条1項の営業許可を受けた法人の経営するぱちんこ店が同法4条2項2号及び同法施行令(昭和59年政令第319号)6条2号を受けて制定された同法施行条例(昭和59年広島県条例第29号)4条1項2号に規定する病院の病棟建物を起点として同条例の定める風俗営業の制限地域外にある場合において,ぱちんこ店が病院の設置主体である生活協同組合の事務所を起点とすれば前記制限地域内にあり,ぱちんこ店の専用駐車場が前記病院の病棟建物を起点として同制限地域内にあるとしても,協同組合は,前記営業許可の取消しを求める原告適格を有しないとした事例 3 ぱちんこ店営業の許可処分の取消しを求める訴えにつき,処分当時,設立中の社団法人にすぎなかった私立図書館の設置者は,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律28条1項,図書館法2条1項に規定する図書館の設置主体に該当しないから,その設置,運営に係る前記処分当時の私立図書館は,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(昭和59年広島県条例第29号)4条2項2号所定の保護対象施設である「図書館」には該当せず,また,その敷地をもって図書館の用に供するものと決定した土地ということはできないとして,前記私立図書館の設置者は,前記処分の取消しを求める原告適格を有しないとした事例 4 ぱちんこ店営業の許可処分の取消しを求める訴えにつき,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律上,保護対象施設の設置者のほかに,設置者の単なる役員にすぎない者につきその個別的利益が法的に保護されているものと解することはできないから,設置者の単なる役員にすぎない者は,前記処分の取消しを訴求する原告適格を有しないとした事例 5 ぱちんこ店営業の許可処分の取消しを求める訴えにつき,パチンコ店の近隣住民は,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律により,善良の風俗,清浄な風俗環境の保持という一般的公益の保護を通じて付随的,反射的に保護されているにすぎないから,同処分の取消しを訴求する原告適格を有しないとした事例

裁判要旨

1 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律4条2項2号及び同法施行令(昭和59年政令第319号)6条2号を受けて制定された同法施行条例(昭和59年広島県条例第29号)4条1項2号が,学校,図書館,病院等の保護対象施設を列挙し,その敷地の周囲から一定の距離の区域内の地域を風俗営業の制限地域としたのは,近隣に風俗営業が行われることによってこれらの施設の円滑な業務の遂行に支障を来すことを防止するためであり,前記制限地域に関する法律,政令及びこれを受けた条例の規定により,不特定多数者の享受する一般的公益と並んで,特定の保護対象施設につき善良で静穏な環境の中で円滑に業務を運営するという個人の個別的利益が法的に保護されているから,保護対象施設の設置者は,制限地域内に風俗営業が許可された場合,同許可処分の取消しを求める原告適格を有する。

全文

全文

ページ上部に戻る