裁判例結果詳細

事件番号

平成1(行ス)1

事件名

移送決定に対する即時抗告申立事件

裁判年月日

平成元年4月18日

裁判所名

広島高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 行政事件訴訟法12条3項にいう「事案の処理に当たつた下級行政機関」の意義 2 社会保険庁長官が船員保険法による遺族年金支給の裁定処分を行うに際し,遺族年金支給裁定請求書に請求人の夫の死亡原因の調査経過及びその死亡が職務外の事由によるとの判断結果を記載した「事情聴取書」等の書面を添付して長官に進達するなどの事務処理をした山口県知事又は下関社会保険事務所長が,前記事務処理は,資料収集や意見具申等によって相手方の裁定事務そのものに関与したものとはいえず,せいぜい地方自治体の行政機関が何ら指揮命令に服さない関係にある国の行政機関に対して対等な立場でいわゆる行政協力をした程度にすぎず,「事案の処理に当たつた下級行政機関」に当たらないとされた事例

裁判要旨

1 行政事件訴訟法12条3項にいう「事案の処理に当たつた」とは,下級行政機関が,上級行政機関の依頼によって処分のための資料収集の補助をするなどして関与した程度では足りず,自ら資料収集の上上級行政機関に意見具申するなどして,上級行政機関の意思形成に協力し,処分の成立に実質的に関与した場合を意味し,同項にいう「下級行政機関」とは,法令上資料収集や意見具申等の権限を有する行政機関に限らず,内規等により運用上資料収集や意見具申等の関与が求められている下級行政機関であってもよいが,その事案の処理に関して何らかの意味での指揮命令に服する関係にあることが必要である。

全文

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