裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
昭和60(行コ)33
- 事件名
違法支出確認等請求控訴事件
- 裁判年月日
平成元年1月27日
- 裁判所名
大阪高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 市長個人に対する地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求の一部について,住民監査請求が同法242条2項所定の期間経過後にされていた場合につき,請求が遅れたのは,同法242条1項所定の「証する書面」として添付する市議会の会議録の完成を待っていたためであるとしても,「証する書面」は,当該行為を実質的に記載しているものである限り,監査請求者作成の文書で足りるから,同条2項所定の期間内に監査請求をすることを妨げる事情は存在せず,同項ただし書にいう「正当な理由」があるとはいえないとして,前記損害賠償請求の一部が不適法とされた事例 2 市長が職員厚生費の名目でした支出命令が違法であるとしてした,市長個人に対する地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求のうち水道事業会計に関する公金の支出に係る部分が,地方公営企業における財務会計上の行為を行うのは地方公営企業の管理者であって,市長は権限を有しないから,同号の「当該職員」に当たらないとして,不適法とされた事例 3 市職員に対し職員厚生費の名目でした公金の支出が,その実質は個々の職員に対する給与(賞与)の支給であり,法律又は条例に違反し,予算上の根拠を欠く違法なものであるとされた事例 4 普通地方公共団体の長が,補助機関である職員に対する指揮監督権の行使の一態様として,その権限に属する財務に関する事務の一部を職員に専決処理させることは,当然許容されるが,この場合,これによって長が法令上本来的に有する権限が失われるものではなく,長が当該職員と共同(共謀,教唆,幇助)してした財務会計上の行為又は財務会計上の指揮監督義務に違反した行為が民法上の不法行為に該当するときは,長は,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,普通地方公共団体の被った損害を賠償すべき義務があるとした事例 5 市長が職員厚生費の名目でした支出命令が違法であるとしてした市長個人に対する地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求の一部が認容された事例
- 裁判要旨
- 全文