裁判例結果詳細

事件番号

昭和44(行ウ)268

事件名

行政処分取消請求事件

裁判年月日

昭和46年6月29日

裁判所名

東京地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 国公立大学学生に対してされた無期停学処分,放学処分に関する紛争は,法律上の争訟に当たるか 2 大学の自治を享受する主体の範囲 3 大学の学生は大学の管理運営に参加する固有の権利を有するか 4 大学の学生に対する懲戒処分が裁判所の判断の対象となる場合 5 国立大学学部長が学生に対して行なった無期停学処分が,裁量権の範囲を逸脱し,または濫用した違法のものとは認められないとされた事例 6 国立大学学長が学生に対して行なった放学処分が,裁量権の範囲を逸脱し,または濫用した違法のものとは認められないとされた事例

裁判要旨

1 国公立大学学生に対する無期停学処分は,公の営造物たる大学の施設,設備を利用しうる権利を長期間かつ無期限に停止し,放学処分は右権利を行使しうる法律上の地位を剥奪するものであるから,いずれも大学の内部的秩序維持の限度にとどまることなく,学生の基本的権利に直接影響を与えるものとして,これに関する紛争は法律上の争訟に当たる。 2 大学の自治は大学における学問の自由の実効性を保障するため,直接には,教官その他の研究者につき認められたもので,大学における研究,教育にかかわりあいのない者に対してまでも与えられたものではない。 3 大学の学生は,教育を受ける権利を憲法により保障されている以上,重ねて学問の自由を保障されるべき理由はなく,また社会権である教育を受ける権利および消極的自由である学生の集会・結社・思想表現の自由からは,大学の学生につき,学問の自由に基づく大学の自治の分担者として,大学の管理運営に参加する固有の権利を認めることはできない。 4 大学紛争下において教官と学生との相互信頼関係が全く喪失し,大学の権威自体が問われて懲戒処分の基盤そのものが大きくゆらいでいる場合には,大学の学生に対する懲戒処分は,処分事由の存否についてはもとより,右処分が教育的措置としての目的,範囲を逸脱するものでないかどうかについても,裁判所の審査の対象となる。

全文

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