裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
高等裁判所
- 事件番号
昭和53(う)2171
- 事件名
業務上過失致死被告事件
- 裁判年月日
昭和54年2月8日
- 裁判所名・部
東京高等裁判所 第一二刑事部
- 結果
破棄差戻
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第32巻1号1頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一 過失行為から結果発生にいたる因果関係につき訴因と認定事実との聞に実質的な差異を生じる場合と訴因変更手続の要否 二 被告人運転の自動車が被害者と衝突したのちその死亡にいたるまでの経緯につき訴因変更手続を経ることなく訴因と異なる認定をしたことが違法とされた事例
- 裁判要旨
一 過失行為から結果発生にいたる因果の系列をなす事実について、訴因と実質的な差異を生じる認定をする場合には、訴因変更手続を経ることを要する。 二 普通乗用自動車を運転していた被告人が、前方注視を怠つた過失により、自車左前部を被害者に衝突させ、ボンネツト上にはねあげるなどして、結局これを死亡させるにいたつた業務上過失致死事件において、被害者を右のとおりボンネツト上にはねあげたのちの経緯につき「同人を路上に転落させ、転倒している同人に気づかなかつた通行中の他の車両をして同人に衝突するに至らしめ、よつて同人に脳挫減等の傷害を負わせて……死亡するに至らしめた」との訴因に対し、訴因変更手続を経ないまま、「同人を路上に転落させ、よつて同人に脳挫滅等の傷害を負わせて……死亡するに至らしめた」との事実を認定することは許されない。
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