裁判例結果詳細

事件番号

昭和44(う)1203

事件名

船車覆没致死、電汽車顛覆、殺人、同未遂、傷害、爆発物取締罰則違反被告事件

裁判年月日

昭和45年8月11日

裁判所名・部

東京高等裁判所 第二刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

第23巻3号524頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

一、 刑法一二六条一項の「破壊」の意義とその事例 二、 殺傷の故意をもつて電車を破壊し、よつて人を死傷に致した場合の擬律 三、 電車内で時限爆破装置を爆発させ、電車を破壊すると同時にその爆体の破片によつて乗客を死亡させた場合の罪責

裁判要旨

一、 刑法一二六条一項にいう破壊とは、人の現在する汽車、又は電車の実質を害して、その交通機関たる機能の全部又は一部を失なわせる程度の損壊をいうものと解すべきところ、被告人の仕掛けた爆体の爆破によつて、本件電車の屋根、天井に張られた鉄板、及び合金板四枚等車体の実質や、金属製扉一個、座席七個、網棚、窓ガラス四枚、その他車体付属品八点を損壊し、爆発物の破片等が床上一杯に散乱するに至つたことが明らかであつて、たとえ、その損害額が五万四、一〇六円程度に止まり、電車自体の走行そのものは可能であつたとしても、交通機関として乗客を乗せ安全な運行を続けるに堪えないものと認められるから、刑法一二六条一項所定の破壊というに妨げない。 二、 (イ)刑法一二六条三項は、同条一項、二項の罪を犯し、よつて人を死に致した行為を結果的加重犯として重く処罰する規定であるから、致死の結果につき予見のある場合には、同法一二六条三項のほか、同法一九九条の適用があり、両者は一所為数法の関係に立つものと解するのを相当とする。 (ロ) 傷害の犯意をもつて傷害の結果を発生したに過ぎないときは、同法一二六条一項と二〇四条とに該当し、両者は一所為数法の関係に立つものと解するのを相当とする。 三、 電車内で時限爆破装置を爆発させ、電車を破壊すると同時に、その爆体の破片によつて乗客を死亡させた場合は、刑法一二六条三項に該当するものと解するのが相当である。

全文

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