裁判例結果詳細

事件番号

昭和43(う)2828

事件名

業務上過失傷害、同致死被告事件

裁判年月日

昭和44年10月20日

裁判所名・部

東京高等裁判所 第一刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

第22巻5号771頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

一、 道路交通法第四二条にいわゆる左右の見とおしのきかない交差点に当る事例 二、 道路交通法第四二条の徐行義務違反と刑法上の業務上の過失との関係 三、 道路交通法第四二条の徐行義務に違反した自動車の運転者に対し業務上過失致死罪の成立を認めなかつた事例

裁判要旨

一、 交差点における被告人の進行道路から交差道路右方の見とおしは、被告人運転の車両と同型のバス運転席より見て、被告人の進行道路の停止線から交差道路右方横断歩道の右側端まで七、八米乃至一〇、三米、被告人が安全を確認したという横断歩道手前から一〇、三米乃至一二、七米に過ぎないものであつて、同所の道路がいずれもアスフアルト舗装であり、最高速度の規制は、被告人の進行道路のみ五〇キロメートルであること、交通量が多いことなどの状況のある場合には、右交差点は道路交通法第四二条にいわゆる左右の見とおしのきかない交差点に該当すると認めるのが相当である。 二、 道路交通法第四二条の徐行義務違反行為が同時に個別的な刑法上の業務上の過失行為に当るかどうかについては、道路交通法違反行為の評価とは別に、被告人の行為につき具体的に過失の有無を論じなければならない。 三、 自動車の運転者が、黄色の点滅信号が作動している道路上を交差点に進入するに際し、道路交通法第四二条の徐行義務に違反したとしても、判示のような状況の下においては、これと交差する道路上の信号が赤の点滅(一時停止)であるに拘らず、これを無視して暴走し、自車の進路を妨害するような車両のあることまで予測して事故の発生を未然に防止しなければならない注意義務を負うものではない。

全文

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