裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
高等裁判所
- 事件番号
昭和36(う)1928
- 事件名
放火被告事件
- 裁判年月日
昭和37年5月30日
- 裁判所名・部
東京高等裁判所 第五刑事部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第15巻7号517頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
放火既遂罪の成立する事例
- 裁判要旨
被告人が家族寮第一三寮一階六号室甲方の前(北側)廊下から右廊下掃出口(縦約三〇糎、横約八〇纏のベニヤ板張りの引戸二枚によつて開閉されるもの)の向つて左側の引戸を約五糎引き開け、ラツカー用シンナー液入りの壜を右掃出口の隙間から居室内に差し入れ、その周辺の畳(表の毀損している古畳の上にゴザ一枚と、更に、その上に薄縁一枚を重ねて敷いたもの。以下同様)および引戸の敷居に同液約八〇CCを注ぎかけ、これに点火したマツチの軸木を近づけて引火せしめ、右甲方の前記掃出口東側引戸の一部(縦約二五糎、横約二五糎)およびこれに接する畳の一部(縦約四五糎、横約三五糎)をそれぞれ燃焼燬損させたほか、右引戸に接する柱の部分を約一粍の深度に、南引戸南縁のうち、前記柱より約二五糎西方に至るまでの部分を約三粍の深度に、同鴨居南縁のうち、同柱より約三四糎西方に至るまでの部分をそれぞれ炭化せしめた以上、火勢は媒介物を離れて家屋が独立して燃焼する程度に達したのであるから、放火既遂罪が成立し、その後火が人為的に消火せられようとあるいは自然に鎮火しようと同罪の成立に影響はない。
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