裁判例結果詳細

事件番号

昭和35(う)312

事件名

贈賄収賄収賄幇助被告事件

裁判年月日

昭和37年5月1日

裁判所名・部

東京高等裁判所 第八刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

第15巻5号271頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

一、 いわゆる計画造船における運輸省の権限 二、 運輸省官房長及び海運調整部長の総合調整権限の内容及び両者の椎限の関係 三、 衆議院決算委員会の権限 四、 衆議院常任委員会における審査対象の範囲 五、 同委員会において各委員が委員長不信任動議を発議する権限の有無と右動議発議の理由の当否

裁判要旨

一、 運輸省は、いわゆる計画造船において、臨時船舶管理法或いは臨時船舶建造調整法に基づき、船舶の建造を許可する権限を有するのであるが、右建造の許可は適格船主の詮衡決定と表裡一体をなし、これと不可分の関係に立つものであるから、右船主に財政資金を融資する権限を有する大蔵省或いは日本開発銀行と共に、適格船主の詮衡決定についても権限を有するものである。 二、 運輸省官房長は運輸省設置法第二二条第一六号の規定による総合調整の権限の行使としていわゆる計画造船における適格船主の詮衡決定及び船舶建造の許可に関する事務についても、運輸省の全省的視野から大臣、次官を補佐して、これに関与する職務権限があり、同省海運調整部長は同法第二四条第三項による総合調整の権限の行使として同省海運、船舶、船員、港湾のいわゆる海事四局の総合的立場において大臣、次官、海運局長を補佐していわゆる計画造船における適格船主の詮衡決定及び船舶建造の許可に関する事務に関与する職務権限がある。 三、 衆議院決算委員会に付託された某年度政府関係機関収入支出決算とは直接関係のない右年度より以後に発生した事項であつても、同委員会において、政府関係機関たる日本国有鉄道の右年度の収入支出決算の当否を審査することの一資料として、少くともこれに関係あるものとして、審議し得る事項であると判断し、議題に取り上げ論議している以上、国会自治の原則からいつて、同委員会が右事項を審議する権限を有するものというべきである。 四、 衆議院常任委員会の運営については、案件が委員会に付託された以上、その案件の審査に必要乃至関連のある限り、特に委員長において議題とする旨宣告した事項でなくても、委員においてこれを取り上げ、自由に質疑し且つ意見を述べることができ、議事の整理はすべて委員長に任せられているものと解するのが相当である。 五、 衆議院常任委員会が付託案件審査のため適法に開かれた以上、国会の開会中たると閉会中たるとを問わず、各委員は議事運営等に関し委員長を問責糾弾し、その不信任の動議を発議する権限を有するものと解すべきである。

全文

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