裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
高等裁判所
- 事件番号
昭和33(う)547
- 事件名
有印公文書偽造収賄被告事件
- 裁判年月日
昭和33年9月30日
- 裁判所名・部
東京高等裁判所 第一一刑事部
- 結果
棄却
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第11巻8号486頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 検察事務官作成の供述調書中数頁に亘り契印を欠いている場合該供述調書につき証拠能力を認めた事例 二、 共犯者中公文書無形偽造の認識のみ有し公文書有形偽造の認識を有しなかつた者に対しなお公文書有形偽造の故意の責任を負うものとした事例
- 裁判要旨
一、 検察事務官作成の供述調書中数頁に亘り契印を欠いていても、作成事務官の署名押印の外取調検察官の署名押印も存在し、作成年月日も所属官署の表示も為され、かつ該調書の筆跡は終始同一人のものと認められ、契印の存在しない部分の前の丁と後の丁との文章の脈絡も続き首尾一貫している場合は適法に作成された供述調書と認めるに十分であり、かつ被告人が該供述調書を証拠とすることに同意しているから右供述調書は証拠能力を認めることができる。 二、 公文書偽造を順次共謀した数名中公文書無形偽造の認識しか有しなかつた者があつても、現実には公文書の有形偽造が行われた場合には、その実行者の作成権限の有無につき認識の相違があるのみで、公文書偽造の目的には何等違いはないのみならず、公文書の無形偽造と有形偽造とは犯罪の構成要件を異にするも、両者はその罪質を同じくしかつ法定刑も同一であるから、無形偽造の認識しかない者でも有形偽造の故意の責任を負うべきものである。
- 全文