裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
高等裁判所
- 事件番号
昭和32(う)1918
- 事件名
業務妨害電車往来危険同未遂被告事件
- 裁判年月日
昭和33年6月23日
- 裁判所名・部
東京高等裁判所 第五刑事部
- 結果
破棄自判
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第11巻8号437頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 刑法第一二五条にいわゆる汽車又は電車の往来の危険を生ぜしめることの意義 二、 業務命令に違背してなされた電車の運行が汽車又は電車の往来に危険を生ぜしめたものと認めた事例
- 裁判要旨
一、 国鉄のような高速度交通機関の大企業においては、全一体の有機的連繋をもつて事業の運営を行うものであるから、たまたまその企業体の一部の従業者が、統括機関の統制に背いて電車を運行させる所為は、列車、電車の事故発生の原因となり得るもので、正当な業務行為たる本質を喪うとともに電車の運行について顛覆衝突その他の事故を発生せしめるおそれある点において刑法第一二五条の犯罪の違法性を具備する。 二、 高速度交通機関の統括機関はダイヤに基き関係電車の状況と睨み合せ、時隔短縮、運転整理等の操作によつて事故発生を防止することができるものであるが、統括機関の掌握せずその命令に従わない本件電車については、同機関としてはその運行の目的、方法その他同電車に関する状況は一切事前にこれを知ることができず、従つて事前に迅速適確な計画を樹てて関係方面に指揮連絡することが不能であるから、時隔短縮、運転整理等によつて規整される通常の場合の運行混乱に比し、一層高度の危険が生じたものといわなければならない。
- 全文