裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
高等裁判所
- 事件番号
昭和28(ネ)1737
- 事件名
不当利得返還請求事件
- 裁判年月日
昭和30年5月16日
- 裁判所名・部
東京高等裁判所 第七民事部
- 結果
棄却
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第8巻4号298頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
農地買収と地上樹木の権利の帰属
- 裁判要旨
一、 自作農創設特別措置法および関係法令にいう立木とは立木法にいう立木もしくは独立の権利の客体としていわゆる明認方法をほどこした樹木をさし、竹木とは右にいう立木以外のものをさすものと解すべきである。 二、 農地の上に生立する樹木(桑樹)があるとき、これが前項にいう立木でない場合には、農地が自作農創設特別措置法により国に買収されれば、原則として樹木は地盤とともに国の所有に帰する。 三、 桑樹の生立する農地の賃貸にあたり、地主である賃貸人か小作料を徴するほか桑葉は地主が自ら採取することとしてこれに従つていても、この関係が一種の分益小作と認められる場合には、これによつて桑樹は地盤をはなれて別個の権利の客体とする明認方法がされているものということはできない。 四、 農地の上に桑樹のあることが農地に対しプラス・マイナス両面の影響を与えるが、全体としてはマイナスの効果に帰する場合、桑樹とともにする農地買収にあたり、この現実にもとずき桑樹自体の価額を算定せず農地について法定の最高額の対価が支払われたときは、桑樹を対価なくして買収したということにはならず、従つて憲法違反の問題を生じない。
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