裁判例結果詳細

事件番号

昭和28(ナ)8

事件名

参議院全国選出議員選挙の一部無効に対する訴訟事件

裁判年月日

昭和29年2月8日

裁判所名・部

東京高等裁判所 第六民事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

第7巻1号71頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

一、 公職選挙法第一七三条違反の事例 二、 公職選挙法第一七三条の掲示の方式は何人が決定することができるか 三、 公職選挙法第二〇五条にいう選挙の結果に異動をおよぼす虞の意義 四、 国会議員の選挙において投票すべき候補者の決定とその所属党派との関係 五、 公職選挙法に定める候補者および党派別周知の各種の方法と同法第一七三条の掲示との関係 六、 公職選挙法第一七三条の掲示に候補者の所属党派が誤記された場合の影響

裁判要旨

一、 公職選挙法第一七三条の掲示に、参議院議員の候補者の所属党派を誤つて記載し、これを選挙の期日前一〇日から、少くとも選挙の期日の午前七時五〇分頃まで掲示したことは、同条の規定に違反するものである。 二、 公職選挙法第一七三条の掲示を、いかなる方式によつて行うかの決定は、特に同法第一七五条の規定により都道府県の選挙管理委員会が定める事項を除いては、市町村の選挙管理委員会の権限に属する事項である。 三、 公職選挙法第二〇五条にいう選挙の結果に異動まおよぼす虞がある場合とは、選挙の規定に違反することがあるとき、その違反が無かつたならば選挙の結果、候補者の当落について、あるいは現実に生じたところと異つた結果を生じたかも知れない可能性がある場合をいう。 四、 選挙人が、選挙殊に国会議員の選挙において、いかなる候補者に投票するかを決定するについて、候補者との個人的な関係による場合が決して少しとはしないが、候補者の所属する政党の表明する政策、その有する性格が、一層重大な意義を有すること、その所属する党派の如何によつて積極的にこれを支持し、投票することを決意しないまでも、少くともその所属する党派のゆえに、消極的にその候補者に投票しない場合のあることは、顕著なところである。 五、 公職選挙法は、候補者の氏名および党派別を周知させるため各種の方法を規定しているが、右各方法は、互に相まち、相助けて、選挙人に対しでき得るかぎり候補者を周知せしめることを目的としているものであつて、他の方法が完全になされたとの理由により、公職選挙法第一七三条の掲示の誤記は、常に軽微な瑕疵にすぎないということはできない。 六、 公職選挙法第一七三条の掲示に、原告の所属党派が誤つて記載された場合、右の誤記は、ひとり原告の得票数の増減ばかりではなく、直接比較の対象とせられている直前の候補者はじめ、その他あらゆる候補者の得票数にも影響をおよぼし、結局もしその違反がなかつたならば、選挙の結果候補者の当落について、あるいは現実に生じたところと異つた結果を生じたかも知れない可能性があるものである。

全文

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添付文書1

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