裁判例結果詳細

事件番号

昭和26(ネ)2385

事件名

損害賠償請求事件

裁判年月日

昭和28年9月21日

裁判所名・部

東京高等裁判所 第七民事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

第6巻10号633頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

一、 民法第一九二条の善意無過失の一例 二、 民法第一九二条により質権を取得した者と所有者との関係 三、 質物の占有を失つた質権の価値

裁判要旨

一、 ラジユウムの所有者甲が乙に乙の名でこれを売却することを委任し、乙がこれを所持してその売却に奔走しており、かつ乙を所有者と表示したガン研究所の品質鑑定書をそえてもつている場合に、丙が乙にそのラジユウム所有権があると信じ、従つてもちろん質入の権限もあると信じたのは無過失と認めるべきである。 二、 右の場合ラジユウムにつき質入の権限のない乙から乙の債務担保のため丙が質権を民法第一九二条により取得したときは、この質権者丙に対してはラジユウムの所有者甲は質権設定者(物上保証人)と同一の立場に立つものというべきである。 三、 質権者が他人の欺罔によつて質物の占有を失い、その質権を第三者に対抗し得なくなつた場合は、この質権の実質は無にひとしくなつたものというべく、債務者が無資力である以上右質物によつて弁済を受け得べかりし限度において損害をこうむるものというべきである。

全文

全文

ページ上部に戻る