裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
高等裁判所
- 事件番号
昭和26(行ナ)10
- 事件名
審決取消請求事件
- 裁判年月日
昭和28年3月9日
- 裁判所名・部
東京高等裁判所 第三特別部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第6巻9号435頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 公正取引委員会における審判官の指定 二、 新聞販売店の地域協定と共同行為 三、 独占禁止法における共同行為と不当な取引制限との関係 四、 独占禁止法第四条の共同行為の意義 五、 同法の共同行為に加功した者の地位 六、 独占禁止法第四条第二項と公共の利益 七、 新聞販売店の地域協定と公共の利益 八、 審決後の事実の変更と審決取消の可否
- 裁判要旨
一、 公正取引委員会が、事件について審判手続の一部を行わせるため、審査官を指揮監督し得る審査部長をその審判官に指定しても、違法ではない。 二、 新聞の販売にあたり、各販売店が新聞発行本社と個個に一定の販売地域を定めて契約を結び、各販売店が互いに自己の地域外には販売しないことを相互に認識しているときは、これらの契約が相集つて取引分野を細分された地域に分割し、各地域に一販売店をおき各販売店は自己の地域内で排他的地位を得るもので、このような方法に従う販売店の間には、新聞の販路および顧客の制限を内容とする共同行為がある。 三、 独占禁止法における共同行為は、それ自体同法所定の不当な取引制限に進むおそれのある行為として、すでにその段階で禁止されるものであり、共同行為と不当な取引制限とは、その程度段階に差異はあるが本質は同一に帰着する。 四、 独占禁止法第四条にいわゆる共同行為とは、相互に競争関係にある独立の事業者が、共同して相互に一定の制限を課しその自由な事業活動を拘束するところに成立し、その各当事者に一定の事業活動の制限を共通に設定することを本質とする。 五、 独占禁止法第四条の共同行為にたんに加功した者は、同条の共同行為者または事業者ということはできず、公正取引委員会は、当然にはこれについて審判し排除措置を命ずることはできない。 六、 独占禁止法第四条の共同行為の場合において、右行為が公共の利益に反しないとの事由は、同条第二項の一定の取引分野における競争に対する当該共同行為の影響が問題とする程度にいたらないとの事由とはならない。 七、 新聞販売店間の地域協定は、公共の利益に反する。 八、 公正取引委員会の審決に対する不服の訴において、裁判所は、審決の基礎となつた事実が審決後に変更もしくは消滅したことをもつて、審決の取消変更をすることはできない。
- 全文