裁判例結果詳細
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高等裁判所
- 事件番号
昭和24(ネ)396
- 事件名
家屋明渡請求控訴事件
- 裁判年月日
昭和24年9月28日
- 裁判所名・部
東京高等裁判所 第一民事部
- 結果
棄却
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第2巻2号181頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
建物の賃貸借と解約申入の正当事由
- 裁判要旨
家屋の賃貸人は、以前居村地方有数の大地主であつたが、終戦後財産税の納入、農地の買上等のため広大な所有地を失い、没落に瀕したので生活再建のため下駄材の製材事業を始めることとし、資金調達の必要上係争賃貸家屋を他に売却して賃借人に明渡を求めたが、賃借人の懇請を容れ先の売買を合意解除して同額で賃借人に売り渡したのに、賃借人は右代金の一部を支払つただけで残金を支払わない、右売買は合意の上解除となり、賃貸人は資金入手が不能となつたため右事業の開始を断念するに至つたこと、賃貸人の家族九人は、保有田畑の自作では生活費に不足し売喰により生活して来たが、遂に祖先伝来の住家を売却して市に移転し家族の俸給生活によつて生計を維持しようとしているが、市内には係争家屋以外に家屋を所有せず、その移転先として係争家屋を使用する必要があること、一方賃借人は、係争家屋に隣接して総坪数百三十余坪の店舗兼住宅を所有していたが、賃貸人から係争家屋の明渡の請求があつた後、空家として他に売却し、更に附近に和室二十七室、倉庫、附属室から成るアパートを経営し、現に十疊間を含む数室の空室があつて多少の手入をすれば、賃借人一家数人が居住できること、賃借人の長男は荒物商であるが本件家屋を店舗に使用していないこと等の事情がある場合には、家屋の賃貸人において賃貸借の解約申入をするにつき正当の事由があるものと解すべきである
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