裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
高等裁判所
- 事件番号
平成3(う)863
- 事件名
覚せい剤取締法違反被告事件
- 裁判年月日
平成4年1月30日
- 裁判所名・部
大阪高等裁判所 第五刑事部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第45巻1号1頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一 採尿に至るまでの任意同行等の手続に重大な違法があるとして尿についての鑑定書等の証拠能力を否定した事例 二 違法に収集された証拠に基づいて発付された逮捕状による逮捕後に被疑者から発見・押収された覚せい剤及び任意提出された尿についての鑑定書等の証拠能力は否定されないとした事例
- 裁判要旨
一 警察官が実力を行使して被疑者をその意思に反して警察署に同行した上で、所持品の提出や腕まくりをさせ注射器や注射痕を発見し、捜索差押許可状請求の準備等をする間同人が退去しようとするのを実力で阻止し、その後発付を得た捜索差押許可状を示して、同人に尿を提出させ、これを押収したという本件の採尿手続(判文参照)は、重大な違法性を帯び、右尿についての鑑定書、捜索差押調書等の証拠能力は認められない。 二 違法に収集された被疑者の尿に関する鑑定書等の証拠に基づいて発付された逮捕状により同人を逮捕した場合であっても、警察官が同人を警察署に引致した後に同人から発見・押収した覚せい剤及び同人から新たに任意提出を受けた尿に関する鑑定書等の証拠能力は、右覚せい剤の発見等は偶然であったと認められるなどの本件事情(判文参照)の下では、未だ否定されない。
- 全文