裁判例結果詳細
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高等裁判所
- 事件番号
昭和43(う)1052
- 事件名
労働基準法違反被告事件
- 裁判年月日
昭和45年1月27日
- 裁判所名・部
大阪高等裁判所 第三刑事部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第23巻1号17頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 労働基準法六〇条三項の規範内容 二、 右条項の定める変則措置を採る場合にあたるか否かを決する基準 三、 右条項違反の各罪相互の関係 四、 労働基準法三二条一項にいう「労働させ」るの意義
- 裁判要旨
一、 労働基準法六〇条三項は、同法三二条一項の趣旨をも包摂し、その規範内容として、(1)使用者は、同法六〇条三項の定める変則措置を採らない場合には、年少労働者を、(イ)一日八時間をこえて労働させてはならない、(ロ)週四八時間をこえて労働させてはならない、(2)使用者は、右変則措置を採る場合には、年少労働者を、(イ)一日一〇時間をこえて労働させてはならない、(ロ)週のうち一日は四時間をこえて労働させてはならない、(ハ)週四八時間をこえて労働させてはならない、との五個のものを含むと解するのを相当とする。 二、 右にいう変則措置を採る場合にあたるか否かは、その週の前に当該措置内容が年少労働者に明示されていたかどうかにかかわりなく、もつばら使用者にその措置を採る意思があるかどうかによつてこれを決すべきである。 三 前記一の(1)の(イ)、(ロ)各規範に違反する場合にはまず(イ)違及の罪が、同(2)の(イ)、(ロ)、(ハ)各規範に違反する場合にはまず(イ)、(ロ)違反の罪がそれぞれ一日単位で成立し、(1)の(ロ)または(2)の(ハ)違反の罪は成立しない。 四、 労働基準法三二条一項にいう「労働させ」るとは、単に使用者が労働者にこれを指令したり依頼した場合にかぎらず、労働者からの申出により労働を許可した場合やこれを黙認した場合をも含むと解するのを相当とする。
- 全文