裁判例結果詳細

事件番号

昭和27(う)1284

事件名

業務上過失致死傷等被告事件

裁判年月日

昭和32年3月30日

裁判所名・部

大阪高等裁判所 第五刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

第10巻4号333頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

一、 生物学的製剤製造機関における主任技術者の職責 二、 ジフテリア予防液製造機関における主任技術者の注意義務の懈怠 三、 ジフテリア予防液の注射と患者の死亡との間における因果関係の証明

裁判要旨

一、 生物学的製剤製造機関における主任技術者は、みずから製造の実務にあたらない場合は自己の責任において事実上製造の実務にあたる者をして過誤なく完全無欠な製剤を製造せしめるよう、これを指導監督すべき職責がある。 二、 ジフテリア予防液製造機関における主任技術者がその実務担当者に対し製造上の実験則たる製剤を単一容器に集注する操作に関し何等の指示注意を与えることなく、そのなすがままに任したため、同人が右操作を怠り小壜に分注した結果全製剤の均質性を欠きジフテリア毒素を含有するものを生ぜしめた場合には、主任技術者に注意義務の懈怠がある。 三、 ジフテリア予防液明ばんトキソイドの注射と患者の死亡との間における因果関係の如きは、解剖等の自然科学的究明によつて寸分の疑なきまでに解明せられなくても、関係証拠により条理上その因果の関係が真実存在するとの高度の蓋然性があり、しかも論理的疑問をさし挾む余地のないまでの心証を形成し得る場合には、これが証明十分と断じなければならない。

全文

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