裁判例結果詳細

事件番号

昭和25(ネ)386

事件名

放学処分取消請求事件

裁判年月日

昭和28年4月30日

裁判所名・部

大阪高等裁判所 第二民事部

結果

棄却

高裁判例集登載巻・号・頁

第6巻3号140頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

一、 公立大学の学生に対する退学処分は事実行為か 二、 右退学処分は営造物利用の反射的利益を失わしめるに止まるものか 三、 右退学処分は特別権力関係内のものとして訴の提起が許されないか 四、 学生の懲戒処分は自由裁量か 五、 右の自由裁量の限界

裁判要旨

一、 公立大学の学長が学生に対してなした退学処分は、学長が行政庁としてなした行政処分であつて、事実行為ではない。 二、 公立大学の学生を退学処分によつて学校という営造物の利用関係から排除することは、或る特定の学校で教育を受けるという積極的な内容を有する利益を奪うものであるから、いわゆる営造物利用の反射的利益を失わしめるに止まらず、権利侵害を生ずる。 三、 公立大学の学生はその自由意思に基いて営造物の設置者と特別権力関係に入つたものであるが、退学処分は被処分者を特別権力関係から終局的に排除するものであつて、単に特別権力関係の内部的処分ということはできないから、これについて訴を提起することができる。 四、 教育者が学生に対し懲戒権を発動する場合、その学生の行為が懲戒に値するものかどうか、さらに所定の懲戒処分の内そのいずれに処すべきものかは、懲戒権者が教育的見地に基く自由裁量によつてこれを定めることができる。 五、 懲戒権者の判断がその教育的見地を顧慮してみても社会通念から見て著しく不当であることが明白な場合は、懲戒権者の自由裁量の限界を超えたもので違法である

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