裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
高等裁判所
- 事件番号
昭和22(上)71
- 事件名
横領被告事件
- 裁判年月日
昭和23年10月5日
- 裁判所名・部
名古屋高等裁判所 第二刑事部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第1巻2号210頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 盗品又は遺失品たることを知らずに盗品又は遺失品を買つた者の管理義務と横領罪の成立 二、 盗品又は遺失品を占有した後その返還を免れるため欺罔手段を用いてこれを領得した場合と詐欺罪の成否 三、 第三者を欺岡して財産上不法の利益を得せしめた場合における詐欺罪の成立要件
- 裁判要旨
一、 盗品を買つた者が、盗品であることを知らなかつたことにつき過失があれば、民法第一九二條による物品に對する權利を取得せず、又盗品を買つた者が、盗品買入に際し平穏、公然、善意、無過失であつても、民法第一九三條により、二年間は所有權は元の所有者にあり、従つて盗品を買つた者が盗品であつたことに氣がついてからは、所有者のために保管する義務があるから、これを領得又は費消すれば、横領罪が成立する。 二、 盗品又は遺失品を買つた者が、盗品又は遺失品であることを知らずに買つた場合に、その盗品又は遺失品であることに氣がついてから、その後欺罔手段を講じてその返還を免がれ、これを領得したのは横領罪に該當し、詐欺罪は成立しない。 三、 第三者を欺岡して財産上不法の利益を得せしめた場合における詐欺罪の成立するには、被欺罔者である第三者が被害物件につき處分又は管理の權限又は地位を有することを必要とする。
- 全文