裁判例結果詳細

事件番号

昭和33(う)986

事件名

爆発物取締罰則違反被告事件

裁判年月日

昭和34年9月12日

裁判所名・部

福岡高等裁判所 第二刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

第12巻7号724頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

一、 爆発物取締罰則第五条違反事件について期待可能性がないとした判断を違法と認めた一事例 二、 同罰則第五条にいう「第一条二記載シタル犯罪者」の意義 三、 同罰則第一一条にいう自首の意義

裁判要旨

一、 甲党の軍事活動が全国的に活発となり、緊迫した情勢にあつた(昭和二七年)当時、治安上情勢把握が緊急を要する事態にあつた山村に上司の特命により、警察官の身分を隠して潜入し、乙党員らの武器収集の実態を明らかにしようとつとめた被告人が、右党員から頼まれ上司の指示を受けて武器の材料を受取に行き、それがダイナマイト等の爆発物であることを知つて同党員に交付した場合において、もしこれを交付しないと、同人等との接触を断つことになり、任務遂行に支障となると考えたこと、その後可能な範囲で監して上司に報告したことの理由だけで期待可能性がないと認めることはできない。 二、 爆発物取締罰則第五条にいう「第一条二記載シタル犯罪者」の中には、第一条に記載した犯罪者の外、第三条に記載した犯罪者をも含むと解するのが相当である。 三、 同罰則第一一条にいう自首とは、犯人が犯罪行為に該当する客観的事実を自発的に捜査官憲に申告することをいい、犯罪行為であることの認識・承認という主観的要件は、自首の要件ではないと解するのが相当である。

全文

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