裁判例結果詳細

事件番号

昭和32(う)1665

事件名

業務上横領背任被告事件

裁判年月日

昭和33年5月20日

裁判所名・部

福岡高等裁判所 第二刑事部

結果

棄却

高裁判例集登載巻・号・頁

第11巻4号211頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

一、 中小漁業融資保証法により設立された熊本県漁業信用基金協会の業務範囲外のものとして無効なる行為 二、 右協会の業務の一と定められている金融機関に対する会員の債務の保証の意義 三、 右協会専務理事が自己または第三者の利益を図る目的をもつて協会所有の債権についてなした質権設定契約が無効である場合における当該専務理事についての背任罪の成否

裁判要旨

一、 中小漁業融資保証法により設立された熊本県漁業信用基金協会がその業務に附随する業務に関するものと認められる範囲のものを除き他から金員を借り受けることまたは、第三者のため債務の引受をすること、若しくは会員たる中小漁業者の金融機関からの融資のために協会の財産権を担保に供することは、それぞれ協会の業務の範囲外の行為であるから、いずれも法律上無効の行為というべきである。 二、 右協会の業務の一と定められている金融機関に対する会員の債務の保証とは会員の債務についてのいわゆる人的担保たる保証をいい、該保証中には協会の財産権について質権等を設定するがごときいわゆる物的担保を包含するものでないと解するのを相当とする。 三、 右協会の専務理事が自己または第三者の利益を図る目的をもつて協会所有の債権につき質権を設定し、質権者に対しその債権証書を交付した以上、それが法律上無効であつても、協会に対し財産上の損害を加えたものということができるから当該専務理事について背任罪が成立する。

全文

全文

ページ上部に戻る