裁判例結果詳細

事件番号

昭和31(う)146

事件名

公職選挙法違反被告事件

裁判年月日

昭和31年4月20日

裁判所名・部

福岡高等裁判所 第一刑事部

結果

破棄自判

高裁判例集登載巻・号・頁

第9巻4号358頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

一、 選挙罰則にいう選挙運動の意義 二、 投票所入場券の入手斡旋行為と選挙罰則における選挙運動

裁判要旨

一、 公職選挙法第二二一条各号以下の罰則をもつて取締りの対象としている選挙運動の意義について、法の趣意とするところは金銭その他の不正の利益をもつて選挙の結果を左右せんとする総ての企を禁遏し、選挙の自由公正を確保しようとする点にあることからみて、当選に有利ならしむるがためにする一切の行為を意味し、従つて他人の当選を妨害する行為、選挙情勢を偵察する行為、演説会場の野次を禁止する行為等間接に候補者の当選に資する結果を招来する行為も包含し、必らずしも選挙人に働きかける行為であることを要しないのは勿論直接当選に有利な結果をもたらす行為に限定する必要もない。 そして通常選挙運動は、選挙人の有効投票の比較多数獲得を目標として展開されるけれども、必らずしも適法な投票の獲得を対象とするものに限定されず、特定候補者をして一応有効な投票を獲得せしめようとする行為も亦選挙運動にあたるものといわねばならない。 二、 投票所入場券を特定候補者の当選をはかるため斡旋する行為は該入場券入手者において右不在者の所在を捜査してその投票権を行使せしめ、または代理投票をなさしめることとするなど適法な方法により自派の投票獲得数の増加を図ることも可能であるのみならず、違法な替玉投票等をなさしめる等の方法により比較的多数獲得に資する暢合も予想せられるから、右入場券の斡旋が選挙人の投票と何ら関連のないものとはいえない。

全文

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