裁判例結果詳細

事件番号

昭和30(ラ)70

事件名

不動産引渡命令に対する抗告事件

裁判年月日

昭和30年11月5日

裁判所名・部

福岡高等裁判所 第二民事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

第8巻8号579頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

一、 競落家屋引渡命令と賃借人の留置権 二、 留置権を有する賃借人からの転借人と競落家屋引渡の拒否権 三、 不動産競売手続開始決定による差押後の競落家屋の改造と留置権の成否

裁判要旨

一、 競落人が民訴第六八七条の規定に従い競落家屋の引渡を申し立てたのに対し、同家屋の必要費・有益費を出した被申立人(賃借権をもつて競落人に対抗し得ない従前の賃借人)が、該費用の償還請求権につき留置権を主張して引渡を拒否した場合は、裁判所は留置債権の支払と引換に競落家屋の引渡を命じないで、引渡命令の申立を棄却するのが相当である。 二、 右の場合不動産競売手続開始決定がその差押の効力を生ずる前に、留置権者たる賃借人から競落家屋の一部を転借した転借人は、留置権者が同家屋の引渡を拒絶してこれを占有しうるかぎりにおいては、競落人に対し自己の転借部分の引渡を拒絶しうるものと解すべきである。 三、 家屋に対する不動産競売手続開始決定がその差押の効力を生ずる前に、適法に競売の目的たる家屋の改造に着手した同家屋の占有者は、差押後継続してなした改造の費用についても、それが家屋の有益費と認められる以上は、該有益費の弁済を受けるまで競落人に対し該家屋を留置してその引渡を拒絶することができる。

全文

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