裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
高等裁判所
- 事件番号
昭和29(う)924
- 事件名
競売入札妨害(教唆)被告事件
- 裁判年月日
昭和29年11月30日
- 裁判所名・部
福岡高等裁判所 第三刑事部
- 結果
破棄自判
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第7巻10号1611頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 不正の利益を得る目的を以てする談合罪の成立要件 二、 右犯罪の成立する一事例
- 裁判要旨
一、 不正の利益を得る目的を以てする談合罪が成立するためには、社会通念上悪質かつ不当な額であると認められる金銭その他経済上の利益の授受そのものを主眼として協定がなさるれば足り、これにより公正なる価格を害するに至るべきことの認識があることは必要としないし、また現実にその落札価格が公正なる価格の範囲内のものであるか否かは問うところでないと解するを相当とする。 二、 協定が入札希望者間において営業上の適正なる価格の維持、特定業者の営業援護のための譲歩等社会通念上自衛策として許容し得る目的に出でたというがごとき特別の事情が存せず、当初から談合金の授受を主眼とし、実質的には競争しないで、落札者たる地位獲得のためになされ、かつその談合金の額が当該落札価格、各入札者の工事見積に要した費用との比較、その他の具体的諸事情からして、単なる社交上の儀礼若くは同業者間の仁義として黙過さるべき程度以上に高額であると認められるときは、その協定は不正の利益を得る目的を以てするの談合にあたるものと解すべきである。
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