裁判例結果詳細

事件番号

昭和28(う)2639

事件名

関税法等違反被告事件

裁判年月日

昭和29年2月6日

裁判所名・部

福岡高等裁判所 第三刑事部

結果

破棄自判

高裁判例集登載巻・号・頁

第7巻2号95頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

一、 貨物の無免許輸出入の罪の共犯者各自に対し没収に代えて追徴をなすべき金額の限度 二、 無免許輸入に係る貨物の対価ま没収することの適否 三、 (イ) 従前外国と看做された地域へ不法出国した昭和二一年勅令第三一一号違反の罪についてその後該地域を本邦の領域として取扱う旨出入国管理令施行規則の改正があつたことは刑の廃止があつた場合に該当するか (ロ) 前示勅令第三一一号違反の不法出国の罪として成立した所為は平和条約発効後においてなおこれを処罰し得るか

裁判要旨

一、 無免許で貨物を輸出入した共犯者数人に対し、該犯罪行為の用に供した船舶の価格を、関税法第八三条第三項に則り追徴すべき場合には、その各人から全額の追徴をなし得るものとする。 二、 無免許輸入の罪にかかる貨物が既に他に売却されて没収することができないときは、関税法第八三条第一項により、該貨物の原価に相当する金額を犯人から追徴すべきであつて、たまたま該貨物の対価たる売却代金が押収されているときといえども、これを刑法第一九条第一項第四号に従つて没収し得べき限りではない。 三、 (イ) 北緯三〇度以南、北緯二九度以北に位する島嶼へ不法に出国した、連合国最高司令官の一九四七年四月一四日附「海外に旋行する日本人に対する旅行証明書」に関する覚書、並びに一九四六年一月二九日附「若干の外廓地域を政治上、行政上日本から分離すること」に関する覚書を内容とする昭和二一年勅令第三一一号違反の罪として成立した所為の処罰に関しては、その後出入国管理令施行規則の改正(昭和二七年二月一日附外務省令第三号)があつて、外国と看做される地域が変更され、前記地域が爾後本邦の領域として取扱われることとなつたことにより、何等の消長を来たすものでなく、すなわち爾後の法令によつて刑の廃止が行われた場合に該当しないものと解するを相当とする。 (ロ) 前示勅令第三一一号は、不法出国の所為を対象とするものに関する限り、憲法の条規に牴触することなく、平和条約発効後も引続き法律として有効に存続するものと解すべきであるから、該勅令廃止前の同令違反の不法出国の所為は、刑法第六条により新旧法の比照の結果、昭和二六年政令第三一九号出入国管理令の罰則によつて、なおこれを処罰し得るものというべきである。

全文

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