裁判例結果詳細
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高等裁判所
- 事件番号
昭和25(う)275
- 事件名
衆議院議員選挙法違反被告事件
- 裁判年月日
昭和25年7月10日
- 裁判所名・部
札幌高等裁判所 第三部
- 結果
破棄自判
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第3巻2号283頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 他事件のために被告人以外の者が作成した供述調書又はその者の供述を録取した書面と刑訴第三二三条第三号 二、 証拠調に関する異議却下理由の誤りとその効果 三、 証言を拒絶した者の供述を録取した検事調書の証拠能力 四、 刑訴第三二一条の合憲性
- 裁判要旨
一、 当該被告事件の当該被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面は、当該被告事件の証拠とするために作成せられたものであるか又は他の事件のために作成せられたものであるかに関係なく、刑訴第三二一条の適用を受けるものであつて、他事件のために作成せられたものであつでも、同法第三二三条第三号にあたる書面ではない。 二、 証拠調に関する異議の申立についての決定は、抗告を許さないものであるから、特に理由を附する必要はないのであつて、たといその理由において誤があつても結局において正当であるならば、それは訴訟手続、の違反には当らない。 三、 刑訴第三二一条第一項第一号及び第二号に「その供述者が死亡、精神若くは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため」と規定するのは公判準備又は公判期日において供述することができない事由として例示的に掲げたものと解すべきであつて、その供述者が、公判廷において証人として尋問せられ証言を拒絶したために、その証人からは重ねて公判廷で証言を得ることができない場合にも、本条によつて他の条件を充足し信用し得べきものであることが保証される限り、その証人の供述を録取した書面を証拠とすることができる。 四、 被告人がもともと審問権を有するにかかわらず、これを行使することができなかつたことを充分に考慮した条件のもとに、証拠能力を認めることとした刑訴第三二一条は、憲法に違反するものではない。
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