裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
高等裁判所
- 事件番号
昭和27(う)838
- 事件名
業務上過失致死傷害被告事件
- 裁判年月日
昭和29年4月20日
- 裁判所名・部
高松高等裁判所 第三部
- 結果
破棄自判
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第7巻9号1321頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 被疑者が心理的圧迫を受けた場合とその供述の任意性 二、 乗合自動車の運転士が同僚より他の乗合自動車備付用の蓄電池の輸送を依願せられてこれを自己運転の乗合自動車に載せて輸送する場合の注意義務
- 裁判要旨
一、 多数の死傷者を出した交通機関の事故につき業務上過失致死傷の嫌疑を受けた被疑者が捜査官憲の取調を受けた当時事故の結果が余りに大であつたためその精神状態が相当興奮しており、また取調官が多数の犠牲者のことに言及して幾分追及的取調をなしたためある程度心理的圧迫を受けていたとしても、その程度が余りに極端にわたらない限りかかる心理的状況下における被疑者の供述が直ちに任意性を有しないとはいえない。 二、 乗合自動車の運転士が同僚より他の乗合自動車備付用の蓄電池の輸送を依頼されてこれを自己の運転する乗合自動車内に載せて輸送する場合右蓄電池に何等覆いがしてないときは車内の安全のため該蓄電池につき端子が外部に露出せぬよう覆いをする等の危険防止措置を車掌をしてなさしめるか又は自らなすかあるいはそのまま輸送するとせば乗客が持込荷物を接触させる虞れのない箇所にこれを置くか何らかの危険防止措置を採ることが乗合自動車乗務員として業務上尽すべき義務である。
- 全文