裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
高等裁判所
- 事件番号
昭和26(う)81
- 事件名
殺人未遂教唆殺人未遂幇助被告事件
- 裁判年月日
昭和27年6月14日
- 裁判所名・部
高松高等裁判所 第三部
- 結果
棄却
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第5巻8号1209頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 手紙の証拠能力 二、 刑訴第二二八条第二項の合憲性 三、 刑訴第二九六条但書に違反しない一事例 四、 判決理由中に事件の特殊性を説明したことと事件に対する裁判官の予断 五、 証拠調請求前に証拠物につき証人に対し尋問することの可否 六、 共同被疑者こして勾留されて取調を受けていた者と刑訴第二二七条の証人適格
- 裁判要旨
一、 証拠物たる手紙は、差出人または受取人の証言並びに封筒および中身の外観、記載内容等に徴し信用すべき情況のもとに作成されたものと認められるときは、刑訴第三二三条第三号によりこれを証拠とすることがでをる。 二、 被告人、被疑者または弁護人の立会を裁判官の裁量に委ねた刑訴第二二八条第二項の規定は、憲法第三七条第二項前段の規定に違反しない。 三、 或犯行が甲の単独犯として甲に対し確定判決があつた後において、右甲の犯行は乙の教唆に基くものとして乙が起訴された場合、検察官が冒頭陳述に際しさきに甲を起訴したときの検察当局の意見を或程度説明することは、刑訴第二九六条但書の規定に違反しない。 四、 判決理由中において、当該事件の発端より起訴を見るに至つたまでの経過および事件の特殊性等を説明し審判にあたり考慮すべき点を列挙しているからといつて、裁判所が予断をいだいて審判したものとはいえない。 五、 手紙を証拠物として証拠調の請求をするに先立ち、該手紙の差出人、自筆代筆等主として作成の点につき、証人に対し尋問することは違法でない。 六、 共同被疑者として勾留されて取調を、受けていた者であつても、刑訴第二二七条の要件を充たすかぎり、他の共同被疑者に対する関係において同条の証人適格を有する。
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