裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
高等裁判所
- 事件番号
昭和34(ナ)1
- 事件名
選挙及び当選の効力に関する訴願の裁決取消請求事件
- 裁判年月日
昭和35年1月29日
- 裁判所名・部
広島高等裁判所 岡山支部 第二部判決
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第13巻2号123頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 代理投票管理の違法と選挙および当選の効力 二、 いわゆる潜在有効投票に該当する事例とその処理方法
- 裁判要旨
一、 (1)候補者の長男が投票管理者に就任し、投票立会人の意見を聞くことなく補助者を選任し、自らも補助者の一人となつて六票の代理投票を行い、又投票立会人三人のうち一人を代理投票の補助者に選任して右六票を含む合計十七票の代理投票を行つた事実があつても、一般の投票監視に差支えを生ぜず、右選挙全体の自由公正が阻害されないかぎり、その代理投票の効力に影響をおよぼすことがあるのは格別、当該選挙の全部無効を招来しない。 (2) 候補者の長男が投票管理者に就任し、投票立会人の意見を聞くことなく、補助者を選任して代理投票を行つたとしても、未だ当該代理投票の自由公正を阻害すべき具体的可能性に乏しく、その代理投票は無効投票とならない。 (3) 候補者の長男が投票管理者に就任し、投票立会人の意見を聞かないで補助者一人を選任すると共に、自らもその補助者の一人となつて代理投票を行つた場合は、当該代理投票の自由公正を著しく阻害し、その代理投票は無効投票となる。 二、 有権者がその適法の資格に基いた瑕疵のない代理投票をしたが、右投票の違法管理のためにその投票の効力が失わしめられる場合は、これをいわゆる潜在有効投票と解すべく、その処理方法は当選者の得票数から右の失効せしめられる票数を減じた数と最高位落選をの得票数に右の失効せしめられる票数を加えた数の差を比較して、当該当選者の効力を決する方法によるものと解するのが相当である。