裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
高等裁判所
- 事件番号
昭和26(ネ)121
- 事件名
損害賠償請求事件
- 裁判年月日
昭和28年7月3日
- 裁判所名・部
広島高等裁判所 松江支部
- 結果
棄却
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第6巻6号356頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 幼児引渡等調停事件において申立人たる幼児の親権者母と相手方たる幼児の父方の祖父との間に幼児の監護教育につき成立した調停の効力 二、 幼児の監護教育についての調停条項を債務名義として付与された執行文の効力 三、 幼児の引渡を目的とする請求権についての強制執行の許否と執行方法
- 裁判要旨
一、 幼児引渡等調停事件において、申立人たる幼児の親権者母と相手方たる幼児の父方の祖父との間に「幼児〇〇の監護、教育は親権者たる申立人と祖父たる相手方とが六ケ月交替で、その居所においてこれを行使し、最初の六ケ月は、申立人よりこれをなすこと」との条項を内容とする調停が成立したとき、右調停は幼児を家畜同然に取り扱い、あるいは幼児に対する親権に対して不当な制限を加えんとしたものまたは憲法の精神に違背し、あるいは広く公序良俗に反するものとして典効であるとはいえない。 二、 右の調停条項に基き、交替時期には、祖父たる相手方は親権者たる申立人に対し、一応権利として幼児の引渡を請求することができるが、右条項を債務名義として強制執行をすることは許されないし右条項を債務名義として付与された執行文は無効である。 三、 親権者、後見人らのように、法律上当然に幼児を監護、教育すべき権利を有し、義務を負担する地位に在る者が幼児引渡請求権を行使しようとする場合、右請求権はその性質上強制履行を許す場合に該当し、強制執行の方法としては、民訴第七三〇条によリ、直接強制執行をすることができる。
- 全文