裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成15(行ウ)21等
- 事件名
開発許可処分取消請求事件,損害賠償請求事件
- 裁判年月日
平成17年10月19日
- 裁判所名
横浜地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 傾斜地の斜面上にある区域を開発区域とする開発行為についてされた都市計画法29条1項に基づく開発許可処分の取消しを求める訴えにつき,開発区域の上方約25メートルの位置に居住する者及び開発区域の下方約2メートルないし約15メートルの位置に居住する者の原告適格が肯定された事例 2 開発区域内の下水を有効に排出する排水路その他の排水施設が配置されるように設計が定められていないため,溢水等による被害が生ずるおそれがある場合における,開発許可処分の取消訴訟と開発区域周辺住民の原告適格 3 傾斜地の斜面上にある区域を開発区域とする開発行為についてされた都市計画法29条1項に基づく開発許可処分の取消しを求める訴えにつき,開発区域の下方約2メートルないし約15メートルの位置に居住する者の原告適格が肯定された事例 4 傾斜地の斜面上にある区域を開発区域とする開発行為についてされた都市計画法29条1項に基づく開発許可処分が,同法33条1項3号,7号の許可基準を満たしておらず違法であるとしてされた,同処分の取消請求が,棄却された事例
- 裁判要旨
1 傾斜地の斜面上にある区域を開発区域とする開発行為についてされた都市計画法29条1項に基づく開発許可処分の取消しを求める訴えにつき,開発区域内の土地が同法33条1項7号にいうがけ崩れのおそれが多い土地等に当たる場合においては,当該開発区域におけるがけ崩れ等による直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する者は,当該開発許可処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有するとした上,同区域は傾斜部分の高低差が最大で15メートル以上に及び,傾斜角度が45度以上になっていることなどからすれば,同区域内の土地は同法33条1項7号にいうがけ崩れのおそれが多い土地に当たるところ,前記開発区域の上方約25メートルの位置に居住する者及び同区域の下方約2メートルないし約15メートルの位置に居住する者については,その居住位置及び前記開発行為が,相当程度大規模なものであることを考慮すれば,がけ崩れ等による直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する者と認められるとして,同人らの原告適格を肯定した事例 2 都市計画法33条1項3号は,開発区域内の下水を有効に排出する排水路その他の排水施設が配置されないままに開発行為を行うときは,その結果,開発区域及びその周辺の地域に溢水等による被害が生じて,人の生命,身体の安全等が脅かされるおそれがあることにかんがみ,そのような被害を防止するために,開発許可の段階で,開発行為の設計内容を十分審査し,前記のような排水施設が設置されるように設計が定められている場合にのみ許可をすることとしているものと解されるところ,このような同号の規定の趣旨,目的,同号が開発許可を通して保護しようとしている利益の内容,性質等にかんがみれば,同号は,溢水等のおそれのない良好な都市環境の保持,形成を図るとともに,排水路その他の排水施設が必要な排水能力を有していない場合に溢水等による被害が直接的に及ぶと想定される開発区域内外の一定範囲の地域の住民の生命,身体の安全などを,個々人の個別的利益としても保護すべき者とする趣旨を含むと解されるから,溢水等による直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する者は,当該開発許可処分の取消訴訟の原告適格を有する。 3 傾斜地の斜面上にある区域を開発区域とする開発行為についてされた都市計画法29条1項に基づく開発許可処分の取消しを求める訴えにつき,同法33条1項3号は,排水路その他の排水施設が必要な排水能力を有していない場合に溢水等による被害が直接的に及ぶと想定される開発区域内外の一定範囲の地域の住民の生命,身体の安全などを,個々人の個別的利益としても保護すべき者とする趣旨を含むとした上,開発区域の下方約2メートルないし約15メートルの位置に居住する者については,その居住位置及び前記開発行為が相当程度大規模なものであることを考慮すれば,溢水が発生した場合には直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する者と認められるとして,同人らの原告適格を肯定した事例 4 傾斜地の斜面上にある区域を開発区域とする開発行為についてされた都市計画法29条1項に基づく開発許可処分が,同法33条1項3号,7号の許可基準を満たしておらず違法であるとしてされた,同処分の取消請求につき,前記開発行為が,同項3号の基準を適用するについて必要な技術的細目を定めた同法施行令26条,同法施行規則22条,26条の定める技術的基準に違反しているとは認められず,また,同法33条1項7号の基準を適用するについて必要な技術的細目を定めた同法施行令28条,同法施行規則23条,27条の定める技術的基準に違反しているとも認められないから,前記処分は同法33条1項3号及び7号に違反しているとはいえないとして,前記請求を棄却した事例
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