裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成15(行コ)14
- 事件名
公金違法支出損害賠償,福岡県違法公金支出返還請求控訴事件(原審・福岡地方裁判所平成13年(行ウ)第34号[乙事件],同平成14年(行ウ)第39号[丙事件])
- 裁判年月日
平成17年10月17日
- 裁判所名
福岡高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 県が現職の教諭を民間の研究団体である県同和教育研究協議会に研修名目で派遣してその給与を支出してきたことは違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,知事に対し,教育委員会委員長個人に対して損害賠償請求することを求める訴えにつき,住民監査請求との間に対象事項の同一性がなく,監査請求前置の要件を欠くとして,訴えが却下された事例 2 県が現職の教諭を民間の研究団体である県同和教育研究協議会に研修名目で派遣してその給与を支出してきたことは違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,知事個人に対してされた損害賠償請求及び前記改正後の同号に基づき,知事に対してされた,知事個人に対して損害賠償請求することを求める請求が,知事個人に故意,過失はないとして棄却された事例
- 裁判要旨
1 県が現職の教諭を民間の研究団体である県同和教育研究協議会に研修名目で派遣してその給与を支出してきたことは違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,知事に対し,教育委員会委員長個人に対して損害賠償請求することを求める訴えにつき,住民監査請求の対象は派遣教諭への給与支出に係るものであるのに対し,住民訴訟の対象は怠る事実としての教育委員会委員長個人に対する損害賠償請求権の不行使であるから,対象事項の同一性がなく,監査請求前置の要件を欠くとして,訴えが却下された事例 2 県が現職の教諭を民間の研究団体である県同和教育研究協議会に研修名目で派遣してその給与を支出してきたことは違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,知事個人に対してされた損害賠償請求及び前記改正後の同号に基づき,知事に対してされた,知事個人に対して損害賠償請求することを求める請求につき,前記派遣は教育公務員特例法20条3項の定める研修の趣旨を逸脱した違法なものであり,著しく合理性を欠き,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない程度に至っていた可能性を否定できず,知事にはそのために支出されている給与の支払を阻止すべき指揮監督上の義務があり,故意または過失で給与の支出行為を阻止すべき措置を怠ったときは,その責任が問われるとした上,県教育公務員の研修の実施は県教育委員会の専権事項であり,県知事の権限事項ではないこと,県議会において前記派遣を問題として行われた質疑も直接的には県教育委員会教育長に対して行われていることからすると,前記派遣についての実態の把握に努めなかったことをもって,知事が前記指揮監督上の権限を行使するに当たっての過失があったと認めることはできないとして,前記請求を棄却した事例
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