裁判例結果詳細

事件番号

平成16(行コ)160

事件名

行政処分取消請求控訴差戻事件(原審・静岡地方裁判所平成2年(行ウ)第4号)

裁判年月日

平成17年3月29日

裁判所名

東京高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 知事等の交際費に係る前渡資金出納簿及び支出証拠書のうち,支出項目が「供物生花」,「御供物」,「接待経費」及び「懇談経費」に分類される支出に係る情報が,静岡県公文書の開示に関する条例(平成元年静岡県条例第15号)9条8号の非開示情報に該当するとされた事例 2 知事の交際費に係る前渡資金の支出証拠書に記載された情報のうち,事業者の支出証拠書発行取扱者の個人印又はサインが,静岡県公文書の開示に関する条例(平成元年静岡県条例第15号)9条2号の非開示情報に該当するとされた事例 3 知事の交際費に係る前渡資金の支出証拠書に記載された情報のうち,事業者の預金口座名(取引銀行,口座番号等)が手書き又は印刷により記載された部分が,静岡県公文書の開示に関する条例(平成元年静岡県条例第15号)9条3号の非開示情報に該当しないとされた事例

裁判要旨

1 知事等の交際費に係る前渡資金出納簿及び支出証拠書のうち,支出項目が「供物生花」,「御供物」,「接待経費」及び「懇談経費」に分類される支出に係る情報につき,前2者については,親族等の限られた者のみが関係する法事に生花や供物を贈ったものであって,交際の相手方及びその内容が不特定の者に知られ得る状態でされたものではなく,生花又は御供物を贈った相手方の氏名等が外部に公表,披露されることがもともと予定されているものではないとして,後2者については,知事等の内輪の懇談に係るものであって,他の地方公共団体の長等との間で公式に開催する定例の会合,県政に対して功労のあった者等を知事が公に表彰するに際して行う祝宴等公式に開催されたものではないから,その性質上,支出の要否や金額等が県と相手方とのかかわりをしんしゃくして個別に決定されるものであり,支出金額等,交際の内容が不特定の者に知られ得る状態でされたものではなく,懇談の相手方の氏名等が外部に公表,披露されることはもともと予定されているものではないとして,前記各情報がいずれも静岡県公文書の開示に関する条例(平成元年静岡県条例第15号)9条8号の非開示情報に該当するとした事例 2 知事の交際費に係る前渡資金の支出証拠書に記載された情報のうちの事業者の支出証拠書発行取扱者の個人印又はサインにつき,これらの氏名等の表示されている文書が特定の事業者の発行した支出証拠書であることを合わせ考慮すれば,前記情報のうち個人印又はサインの記載された部分を開示することにより,そこに表示されている個人が特定の事業者に勤務している職員であること及び当該事業者において支出証拠書発行事務を担当しているという職務の具体的内容まで明らかになるから,前記部分が,当該個人の職業に関する情報に該当するものと認められ,静岡県公文書の開示に関する条例(平成元年静岡県条例第15号)9条2号の非開示情報に該当するとした事例 3 知事の交際費に係る前渡資金の支出証拠書に記載された情報のうちの事業者の預金口座名(取引銀行,口座番号等)が手書き又は印刷により記載された部分につき,そのうち預金口座名が印刷により記載されたものについては,事業者が請求書に記載して顧客に交付することにより,口座番号等が多数の顧客に広く知れ渡ることを容認し,当該顧客を介してこれが広く知られ得る状態においているものということができるから,顧客が県であるからこそ債権者が特別に口座番号等を開示した等の特段の事情がない限り,預金口座名は,これを開示しても債権者の正当な利益等が損なわれると認められるものには当たらないというべきであり,県の職員が支払手続をするため事業者から聞き取り,手書きしたものについては,事業者から扱いを慎重にすることを求められたなどの事情もなく,容易に聞き取りすることができたことが認められるから,これを開示しても債権者の正当な利益等が損なわれると認められるものには当たらないというべきであるとした上,前記各特段の事情が認められないとして,前記情報が静岡県公文書の開示に関する条例(平成元年静岡県条例第15号)9条3号の非開示情報に該当しないとした事例

全文

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添付文書1

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