裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成15(行ウ)12
- 事件名
福岡県違法公金支出返還
- 裁判年月日
平成17年11月4日
- 裁判所名
福岡地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 地方自治法243条の2の適用のない,いわゆる非財務会計職員が,職務行為について所属の地方公共団体に対し損害賠償責任を負うための主観的要件 2 県が県立高校の教諭の定数を加配した上で,現職の教諭を追加配当により当該県立高校に配置し,出張命令又は職務専念義務免除の手続をとった上で,同教諭を県同和教育研究協議会,県高等学校同和研究協議会及び全国同和教育研究協議会に派遣し,その間の給与及び旅費を支出してきたことについて,住民が,前記の行為は地方公務員法に照らし違法であり,給与及び旅費相当額の損害が発生しているとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,県知事に対し,前記の行為に関わった者らに対して損害賠償を請求することを求める請求が,一部認容された事例
- 裁判要旨
1 地方自治法243条の2の適用のない,いわゆる非財務会計職員が,職務行為について所属の地方公共団体に対し損害賠償責任を負うための主観的要件について,国家賠償法1条2項及び地方自治法243条の2は,それぞれ一定の範囲の公務員の職務行為の特殊性に鑑み,その損害賠償責任が発生する要件及び相手方について個別に定めたものであって,これらの規定を直ちに類推適用して,非財務会計職員がその職務行為により,その所属する地方公共団体に対し損害を与える場合は,故意又は重過失のあるときに限って,損害賠償責任が発生すると解することはできず,前記の場合の不法行為責任については,原則どおり民法が適用され,非財務会計職員は,民法709条等に従い,故意又は過失が存するときに損害賠償責任を負う。 2 県が県立高校の教諭の定数を加配した上で,現職の教諭を追加配当により当該県立高校に配置し,出張命令又は職務専念義務免除の手続をとった上で,同教諭を県同和教育研究協議会,県高等学校同和研究協議会及び全国同和教育研究協議会に派遣し,その間の給与及び旅費を支出してきたことについて,住民が,前記の行為は地方公務員法に照らし違法であり,給与及び旅費相当額の損害が発生しているとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,県知事に対し,前記の行為に関わった者らに対して損害賠償を請求することを求める請求につき,前記の各手続に関与した者らの不法行為の成否について,その主観的要件としては民法709条等に従い,故意又は過失が存するときに損害賠償責任を負うことになるとした上,前記出張命令を発した県立高校の校長及び同命令を申請して前記各協議会に派遣された当該教諭,並びに,前記配置に関与した当時の県教育委員会事務局の教育企画部長,同和教育課長及び教職員課長の地位にあった者らの過失を肯定して,さらに,前記配置及び出張命令が違法であるなどとして,前記請求のうち前記配置及び出張命令に係る部分の一部を認容した事例
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