裁判例結果詳細

事件番号

平成16(行コ)5

事件名

公金支出差止等請求控訴事件(原審:金沢地方裁判所平成15年(行ウ)第2号)

裁判年月日

平成17年12月19日

裁判所名

名古屋高等裁判所 金沢支部

分野

行政

判示事項

1 地方自治法242条の2第1項1号に基づく町長に対する公金支出の差止請求に係る訴訟の控訴審において,行政事件訴訟法19条2項,民事訴訟法143条により,被控訴人の同意なくしてされた,地方自治法242条の2第1項4号に基づき町長に対し,町長個人及び前記公金支出の相手方に対し損害賠償をするよう求める義務付け請求に係る訴えの追加申立てのうち,町長個人に対し損害賠償をするよう求める義務付け請求に係る訴えが許され,前記支出の相手方に対し損害賠償をするよう求める義務付け請求に係る訴えが不許可とされた事例  2 町長が,生涯学習施設の実施設計の委託契約を,随意契約の方法により,同施設の基本設計を行った業者との間で締結したことが違法であり,同契約に基づく報酬支払のための違法な公金支出により町が損害を被ったとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,町長に対して損害賠償請求をすることを求める請求が,棄却された事例

裁判要旨

1 地方自治法242条の2第1項1号に基づく町長に対する公金支出の差止請求に係る訴訟の控訴審において,行政事件訴訟法19条2項,民事訴訟法143条により,被控訴人の同意なくしてされた,地方自治法242条の2第1項4号に基づき町長に対し,町長個人及び前記公金支出の相手方に対し損害賠償をするよう求める義務付け請求に係る訴えの追加申立てにつき,前記差止請求と前記義務付け請求は,訴訟の当事者を同一にする同一の訴訟手続による訴えであり,両請求における主張立証は概ね共通することが認められるから,両請求はその請求の基礎を同一にするものと解されるところ,被控訴人には,第一審において町長個人及び前記支出の相手方に対して同条7項に規定する訴訟告知をし,前記義務付け請求に係る訴えについての判決の効力を享受する法的利益があり,同利益を内容とする審級の利益に配慮する必要があるから,このような配慮を必要としない特段の事情のない限り,控訴審において前記義務付け請求を追加するには被控訴人の同意を要するとした上,町長個人に対し損害賠償をするよう求める義務付け請求に係る訴えにつき,町長個人は,町の執行機関である町長としてではあるが,前記義務付け請求と請求の基礎を同一にする前記差止請求に係る訴えについて,一審被告及び被控訴人として第一審から審理に関与してきたものである上,前記義務付け請求は,町長の支出命令により前記公金の支出がされたことにより派生した訴えであることも考慮すると,前記特段の事情があるものというべきであるとして,前記訴えの追加申立てを許し,前記支出の相手方に対し損害賠償をするよう求める義務付け請求に係る訴えにつき,前記特段の事情が認められないとして,前記訴えの追加申立てを不許可とした事例 2 町長が,生涯学習施設の実施設計の委託契約を,随意契約の方法により,同施設の基本設計を行った業者との間で締結したことが違法であり,同契約に基づく報酬支払のための違法な公金支出により町が損害を被ったとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,町長に対して損害賠償請求をすることを求める請求につき,設計において創造性や芸術性が要求される建物の実施設計を,基本設計をした者が行えば,発注者の意図を理解する作業を省略することができ,また,実施設計を行う者と基本設計を行う者との間での設計思想の齟齬を防ぐことができることからすれば,前記のような建築物につき基本設計が完了した後に行われる実施設計の委託契約は,基本設計の受託者との間で契約の締結をするのが,その性質に照らし,又はその目的を達成する上で妥当であることなどからすれば,地方自治法施行令167条の2第1項2号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当すると判断したことに裁量の逸脱があったとはいえず,前記委託契約を随意契約の方法で締結したことに違法があるということはできないとして,前記請求を棄却した事例

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