裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
平成15(行コ)298
- 事件名
行政文書不開示処分取消請求控訴事件(原審・横浜地方裁判所平成14年(行ウ)第59号)
- 裁判年月日
平成17年2月9日
- 裁判所名
東京高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 神奈川県個人情報保護条例(平成2年神奈川県条例第6号)に基づいて開示請求された,精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づいてされた請求者の過去における措置入院及びその解除に係る文書のうち病名,病状等に係る情報が,前記条例15条4項3号に不開示事由として規定する診断情報に該当するとされた事例 2 神奈川県個人情報保護条例(平成2年神奈川県条例第6号)に基づいて開示請求された,精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づいてされた請求者の過去における措置入院及びその解除に係る文書のうち,「措置入院に関する診断書」中の「主たる陳述者氏名及び続き柄」等に係る情報が,前記条例15条4項1号に不開示事由として規定する第三者情報に該当するとされた事例
- 裁判要旨
1 神奈川県個人情報保護条例(平成2年神奈川県条例第6号)に基づいて開示請求された,精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づいてされた請求者の過去における措置入院及びその解除に係る文書のうち,「診察の結果について(通知)の案」中の「病名」,「措置入院に関する診断書」中の「生活歴及び現病歴」,「病名」,「問題行動」,「現在の病状又は状態像」及び「診察時の特記事項」,「精神保健診察結果書」中の「診断名」及び「問題行動」並びに「措置入院者の症状消退届」中の「病名」及び「入院以降の病状又は状態像の経過」に係る情報につき,通常の診療契約関係とは異なり,指定医が診察内容を被検診者やその家族に対して知らせるべき義務を負う立場にない関係において,情報開示により精神障害者であるという診断結果に接した場合,誰しもがこれを従順かつ平穏に受容するという事態は容易に想定し難く,場合によっては,何としても当該情報が虚偽であることを明らかにしたいと考え,様々な行動に出ることも予想されないとはいえず,それらの行動が必ずしも平穏な態様でなされる保障もないといわざるを得ないところ,同法の入院措置に関する診察は,過去の生活歴や病歴をもとに,現時点での病状や状態像についての判断を行うことが必要であること,請求人の精神障害が治癒ないし寛解した旨の証拠資料が存しないことなどにかんがみれば,前記各情報を開示した場合,請求人の精神状態に不利益が生じるおそれがあり,ひいては予想され得る指定医の診察に対し,請求人からの抵抗等が生じ得ることも合理的に予想され得ることからすると,診断に著しい支障が生ずるおそれが存すると認められるとして,前記各情報は,前記条例15条4項3号に不開示事由として規定する診断情報に該当するとした事例 2 神奈川県個人情報保護条例(平成2年神奈川県条例第6号)に基づいて開示請求された,精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づいてされた請求者の過去における措置入院及びその解除に係る文書のうち,「措置入院に関する診断書」中の「主たる陳述者氏名及び続き柄」及び「診察に立合った者の氏名及び続き柄又は職業」並びに「精神保健診察結果書」中の「立会った親族等の氏名及び続柄」に係る情報につき,これらの情報は請求者以外の個人すなわち第三者に係る個人情報を含んでおり、これらの第三者は、同法の入院措置制度等において、その存在が必要不可欠とされていることなどから、当該地位にあることに係る個人情報につき相応の尊重を受けるべきところ,通常の診療契約関係とは異なり,指定医が被診察者に対して説明及び報告の義務を負う立場にないという関係において,情報開示により精神障害者であるという診断結果に接した場合,誰しもがこれを従順かつ平穏に受容するという事態は容易に想定し難いこと,それゆえに被開示者が場合によっては,何としても当該情報が虚偽であることを明らかにしたいと考え,様々な行動に出ることも予想されないとはいえず,それらの行動が必ずしも平穏な態様でなされる保障もないと考えられることからすると,請求者において前記第三者に対して様々な行動に出ることが合理的に予想されるというべきであり,これらの事態を生じさせることにより,前記各情報の開示は,前記第三者の正当な利益を侵すことになると認められるとして,前記各情報は,前記条例15条4項1号に不開示事由として規定する第三者情報に該当するとした事例
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