裁判例結果詳細

事件番号

平成17(行コ)193

事件名

健康保険傷病手当金不支給処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成15年(行ウ)第612号)

裁判年月日

平成17年11月16日

裁判所名

東京高等裁判所

分野

行政

判示事項

1 行政手続法11条1項の不遵守が当該処分の効力に及ぼす影響 2 平成14年法律第102号による改正前の健康保険法45条に基づく傷病手当金の支給請求に対して社会保険事務所長がした不支給処分の取消請求が,同傷病手当金の給付を受ける権利が時効消滅しているとして棄却された事例

裁判要旨

1 行政手続法11条1項は,同一の申請者が他の行政庁に対しても関連する他の申請を提出している場合には,当該複数の申請に係る案件に関与する行政庁が複数であるために,本来明確であるべき各機関ごとの責任の所在が不明確となることがあることから,申請の迅速処理が合理的な理由なく妨げられ,申請者が不利益を被ることがないようにするため,同一の申請者からされた当該申請に関連する申請に対する審査,判断の結果を考慮しなければ当該申請についての判断を行うことができないなど合理的な理由がある場合を除き,他の行政庁において当該関連申請が審理中であることを口実に審理,判断を留保してはならず,また,一定の合理的な理由で処理期間が長くなることがあっても,自らが求められた許認可等に係る審査の時期又は判断を下す時期を不必要に引き延ばしてはならない旨を訓示的に規定したものであり,申請に対する審査の促進化を図ることを目的とする行政運営法的規定の一つであると解するのが相当であり,行政手続法11条1項の不遵守が直ちに当該処分の効力に影響を及ぼすということはできず,仮に当該処分が同項を遵守することなくされたとしても,そのことのみを理由として,当然に取り消されるべきであるとまでいうことはできない。 2 平成14年法律第102号による改正前の健康保険法45条に基づく傷病手当金の支給請求に対して社会保険事務所長がした不支給処分の取消請求につき,同傷病手当金は,労務不能となった日ごとに,その翌日から請求権の行使が可能であって,同行使に法律上の障害は存在しないから,それぞれの日分の傷病手当金請求権の消滅時効の起算点は,それぞれの日の翌日であるとし,前記請求にかかる傷病手当金の給付を受ける権利は時効消滅しているとして,同請求を棄却した事例

全文

全文

ページ上部に戻る