裁判例結果詳細

事件番号

昭和55(行ウ)1

事件名

行政処分取消請求事件

裁判年月日

昭和60年3月12日

裁判所名

仙台地方裁判所

分野

行政

判示事項

1 予防接種法16条に基づく給付制度を適用するに当たり,予防接種と疾病との間の因果関係を肯定するための要件  2 予防接種法16条1項に基づく医療費及び医療手当の請求に対する棄却処分の取消しを求めて,同法による予防接種を受けた者が提起した訴えにおける予防接種と疾病との間の因果関係を肯定するための要件の立証責任  3 予防接種法7条によるインフルエンザHAワクチンの予防接種と,急性散在性脳脊髄炎により廃疾の状態にある児童の発症との間に因果関係があるとした事例  4 急性散在性脳脊髓炎により廃疾の状態にある児童が予防接種法16条1項に基づいてした医療費及び医療手当の請求に対して市長のした棄却処分が,同法7条によるインフルエンザHAワクチンの予防接種と,右疾病の発症との間の因果関係を認定できないとした厚生大臣の誤った判断に基づいて行われたものであるとして,取り消された事例

裁判要旨

1 予防接種法16条に基づく給付制度を適用するに当たり,予防接種と疾病との間の因果関係を肯定するためには,(1)当該予防接種から右疾病が生ずることが理論上又は経験上否定されていないこと,(2)右両者間に時間的,空間的密接性があること,及び(3)右疾病が右予防接種によるよりも他の原因によるものであると考える方が合理性がある場合でないことの三つの要件を充足することが必要であり,特段の事情のない限り,これをもって足りる。  2 予防接種法16条1項に基づく医療費及び衣料手当の請求に対する棄却処分の取消しを求めて,同法による予防接種を受けた者が提起した訴えにおいて,当該予防接種と当該疾病との間の因果関係を肯定するための(1)右予防接種から右疾病が生ずることが理論上又は経験上否定されていないこと,(2)右両者間に時間的,空間的密接性があること,及び(3)右疾病が右予防接種によるよりも他の原因によるものであると考える方が合理性がある場合でないことの三つの要件のうち,原告は,(2)の要件の立証責任を負い,被告は,(1)及び(3)の要件の不存在の立証責任を負う。

全文

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